『フラーハウス』は大人も楽しめるコメディに 前作『フルハウス』からの変化を読む

 コメディ作品でありながら、時折シリアスな問題にも直面することで知られていた『フルハウス』同様、今回も自由奔放に生きているかのように見える妹ステフの身に起こった哀しい現実も描いている。またキミーの過剰で非常識な性格がもたらすトラブルの数々が『フラーハウス』の肝であるが、そんな彼女の抱える“子育て”というシリアスな悩みも笑いのオブラートで包みながら、誤魔化さずに描いている点が秀逸だ。

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 子育てに奮闘する男たちの姿を滑稽に描いた『フルハウス』に比べると、『フラーハウス』は子供たちの描写にこだわらず、D.J.やステファニー、そしてトラブルメイカーのキミーの三人の恋愛模様(特にキミーと別居中の夫フェルナンドを巡るドタバタは、今回の見どころの一つだ)が多く描かれている。その結果、子供はもちろん、大人の方が(特に『フルハウス』をリアルタイムで観てきたファンにとっては)楽しめる作品に仕上がった。
 
 お馴染みの決めセリフ、懐かしい脇役キャラの成長した姿、90年代に流行った音楽、そして『ダーティ・ダンシング』(87)のファンは感涙の演出も用意されている。もちろん、シリーズを通して全ての問題を解決する“ハグ”は本作でも健在だ。

■鶴巻忠弘
映画ライター 1969年生まれ。ノストラダムスの大予言を信じて1999年からフリーのライターとして活動開始。予言が外れた今も活動中。『2001年宇宙の旅』をテアトル東京のシネラマで観た事と、『ワイルドバンチ』70mm版をLAのシネラマドームで観た事を心の糧にしている残念な中年(苦笑)。

■公開情報
『フラーハウス』
ストリーミング配信中
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Netflix:https://www.netflix.com/jp/

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