『あさが来た』ヒットを支えるのは“意外な3人”? 物語に色を添える個性派たち

 NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』が好調だ。20日に放送された第47話の平均視聴率は25.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、自己最高。週間平均視聴率も、初週から9週連続で20%の大台超えを果たしている。ここまで『あさが来た』が人々をひき付けるのは、王道的なストーリーや斬新な舞台設定もさることながら、意外ともいえるキャスティングに依るところも大きいのではないだろうか。波瑠と夫・新次郎役の玉木宏を中心に、脇役には、宮﨑あおい、近藤正臣、升毅、寺島しのぶ、山崎銀之丞……と、様々な世代の間違いない名優が揃っているが、本稿では特に際立った存在感を放つ3人の俳優にスポットを当ててみたい。

 ドラマの開始早々に怪演が話題になったのは、あさの姉・はつ(宮﨑あおい)の夫・惣兵衛役である柄本佑。母親である菊(萬田久子)の言いなりの冷血漢で、付けられたあだ名は「白蛇」。気持ち悪いやら怖いやらで、緊張感を走らせてくれたが、家業である両替屋・山王寺屋がつぶれてからは、百姓の仕事で生き生きと働くようになる。柄本明と角替和枝を両親に持つだけあって、10代から独特の存在感が光る演技を披露してき柄本佑だが、どんどん演じる役柄が幅広くなる中で、今回の惣兵衛は、彼が内面に秘めてきた狂気を思い切りあらわにしたと言えるだろう。その舞台がよりによって朝ドラというところが、なんとも痛快である。

 そして、このドラマで存在を知る人が多かったのではと思われる俳優が、ディーン・フジオカ。子供時代のあさと出会ってから、ずっと彼女をサポートし続ける、薩摩出身の政財界の雄・五代友厚を演じている。完璧なイケメンでありながら、その芯にはどっしりとした安定感と、そこはかとない複雑さを滲ませる彼。それもそのはず。彼には、既にユニークなキャリアがあるのだ。れっきとした日本人ながら、台湾を中心に俳優として活躍。さらに、自ら作詞・作曲・プロデュースを手掛ける音楽制作を、インドネシアで行っている。そして、満を持して、今年から日本の連続ドラマにも出演しはじめたのだ。ただ者ではないオーラを生かした五代役は、ディーンそのものの印象と大きく重なる。

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