『黄金のアデーレ』公開記念インタビュー
サイモン・カーティス監督が語る、『黄金のアデーレ』制作秘話とキャスティングの重要性
「映画作りにはキャスティングが非常に重要」
ーー前作『マリリン 7日間の恋』も実話をベースにしたストーリーでしたが、実話を描くことにこだわりはあるのでしょうか?
カーティス:そうですね。実話に興味があるのもそうなのですが、その話についてのリサーチに没頭することが非常に好きなんです。ただ、近年は『英国王のスピーチ』や『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』、『博士と彼女のセオリー』など、たくさんの実話ベースの映画が作られていますよね。こういった傾向があるのは、製作陣だけでなく、観客側の皆さんもこのような実話ベースの映画を求めているから、というのも理由のひとつだと思います。
ーー実話を映像化するに当たって、監督なりのこだわりや工夫などはありますか。
カーティス:いいキャストを集めることですね。キャスティングが非常に重要です。今回はヘレン・ミレンを主役に迎えました。以前からヘレンとは知り合いだったのですが、最初は通常通りの方法で彼女のエージェントに脚本を送ったんです。それから交渉に入ったところ、ヘレンが脚本を非常に気に入ってくれました。彼女がこのキャラクターを信じてくれないと、この作品は作れないと思っていたので、良かったです。ヘレンとの仕事は本当に素晴らしい経験で、最高でした。
ーーヘレンと一緒に仕事をしてみて、イメージと異なる部分は?
カーティス:もちろん素晴らしい女優だということは前々からわかっていたんですが、彼女の演技が生まれるプロセスを生で見れたことはすごくよかったですね。アカデミー賞(R)をはじめ、彼女はいろいろな賞を獲っているけれど、それが単なる偶然ではなくて、彼女の才能によるものなんだと改めて実感しました。
ーーヘレン以外にも国際色豊かな役者陣が揃っています。他のキャストについてはいかがですか。
カーティス:BBCのドラマ『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』にも出演していたタチアナ・マズラニーに、若い頃のマリアを演じてもらったのが印象的でした。きっと彼女は大スターになると思います。ドイツ人俳優のダニエル・ブリュールと仕事ができたのも素晴らしかったですし、ジョナサン・プライスやチャールズ・ダンス、エリザベス・マクガヴァンといった方々にカメオ出演していただけたのも良かったですね。
ーー弁護士のランディ・シェーンベルク役を演じたライアン・レイノルズについてはいかがでしょう?
カーティス:やはりオールアメリカンという、完全にアメリカっぽくて、観客と一緒にウィーンへの旅、歴史への旅をする人が欲しかったんです。ライアンは実際のランディとは似ても似つかないんですけど、彼と同じような優しさと知性を持ち合わせている。そして、ヘレンとの化学反応も素晴らしかったんです。その化学反応が、作品にユーモアや温かさをもたらしてくれました。そういった意味では、私はラッキーでしたね。
ーーランディ自身も本作の製作に携わったそうですね。具体的にどのように関わったのでしょうか。
カーティス:彼自身の描写について、脚本の段階でアドバイスを与えてくれました。あと彼は弁護士なので、法的な部分でも非常に助けてくれましたし、作品のプロモーションも手伝ってくれました。そして、実は映画にも出ているんですよ(笑)。
ーーそうなんですか? どこに出ていたのでしょう。
カーティス:どこに出ているかはお教えできませんので、探してみてください(笑)。セリフがないとだけ、お答えしておきます。
(取材・文=宮川翔)
■公開情報
『黄金のアデーレ』
11月27日(土)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:サイモン・カーティス
脚本:アレクシ・ケイ・キャンベル
出演:ヘレン・ミレン、ライアン・レイノルズ、ダニエル・ブリュール、ケイティ・ホームズほか
提供:ギャガ、カルチュア・パブリッシャーズ
配給:ギャガ
原題:WOMAN IN GOLD
2015/アメリカ・イギリス/109分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
字幕翻訳:戸田奈津子
(C)THE WEINSTEIN COMPANY / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ORIGIN PICTURES (WOMAN IN GOLD) LIMITED 2015
公式サイト:http://golden.gaga.ne.jp/