タイ・ウェスト監督が語る『サクラメント 死の楽園』製作秘話「イーライ・ロスとの素晴らしいコラボ」

(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC

 また、ウエストは観客に対して、本作を「一連のホラー映画以上のものとして捉えてほしい」と語る。「愚かで猟奇的なカルト教団についての映画は作りたくなかった。僕が作りたかったのは、彼らのことを観客が自分自身の問題と捉えることができること。それでも彼らのやっていることや言っていることに賛同するのではなく、彼らが“なぜ・どのよう”にこのカルト教団に参加してしまったのかを理解できるような映画にすることだった。僕はカルトが興味深く個人的なものだとわかったし、何が彼らを奇妙な生活スタイルに引き込んでしまったのかについて観客に考えてもらえたら嬉しいよ」。さらに、ウェストは「カルトの思考方法をより理解してほしい」と話す。「血祭りを喜ぶ人たちが好んで観るコアなジャンル映画としてではなく、ワンランク上を極めたジャンル映画として楽しんでほしい。僕の作品をずっと観てくれていた人はわかると思うけど、この映画は今までの作品とは違う。僕は繰り返し同じ作品を作ることは決してしない。この映画は僕のキャリアの進化したものであり、今までの延長線上にあるものでもある」とコメントした。

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 本作はいわゆる“低予算映画”として括られるが、低予算だからといって、困難に直面することはなかったという。「今回の規模で作ったこの映画とビッグバジェットで作った場合のこの映画の違いは「エデン教区」のサイズが変わるくらいのものだろうね。僕らの製作予算だと170人程度のカルト教団は作れた。ジョーンズタウンは900人以上のメンバーがいたけどね。その点以外では、僕がやりたいと思っていたことはほとんどできたよ。いつもの通り、18日の撮影期間は気が狂いそうだったけどね。時間とお金がもっと欲しいと思うこともあるけど、常に十分な時間とお金に恵まれないのが映画製作の常さ。気を抜かずに妥協を利点に変えるんだ。ここ10年、インディペンデントな映画をずっと作っている。そして何度も同じスタッフと取り組んでいるんだ。僕ら同じスタッフはかなり良いチームだと思っている」と、スタッフへの信頼を口にした。

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 監督だけでなく脚本も務めているウエスト。編集や製作も含め、それぞれを分けて考えたことはなく、すべてが“映画製作”だと捉えているという。『サクラメント』については、「今回の映画は僕の前作よりも社会的主張を強く持つ。だからいつもよりたくさんのセリフがあった。それは僕にとっては初めての経験だったが、僕の場合、特定の俳優のために書いているので彼らの声を脚本にするのは至って簡単な作業だった。製作のOKが出てから2週間で脚本を書き上げてしまったよ。俳優たちの演技はナチュラルで、みんなセリフを自分のものにしていたよ」と話した。

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 本作で製作を務めたイーライ・ロスのことを“素晴らしい”と語るウエストは、彼との関係について、以下のように答えている。「僕らは10年来の友達だ。でも彼がプロデューサーとして僕の作品に参加することについては、それが良い結果を生むのか確信が持てなかった。僕は映画を作ることについて明確なビジョンを持っている。そして彼も同じだ。だから上手く相乗効果を出せるか、それとも反発してしまうのかが分からなかった。でも結果、素晴らしいコラボになったよ。そして今では彼が監督のビジョンをサポートできるクリエイティブなプロデューサーであることを信じて疑わないね。彼は、監督の映画をプロデューサーのものにするようなタイプじゃないんだ。僕らは共通して好きなものもたくさんあるけど、感受性は別だ。彼はそれをしっかりと尊重してくれた。彼は僕を守ってくれたし、そして大いに任せてくれた。監督を信頼してやりたいようにやらせてくれるプロデューサーは稀だ。僕とイーライが逆の立場だったら、僕はそうはできないかもしれない。全て僕の思った通りに製作できたのは夢みたいなことで、イーライがそれを実現させてくれたんだ」とロスに対して厚い信頼を寄せていた。

■公開情報
『サクラメント 死の楽園』
11月28日(土)角川シネマ新宿レイトショーほか公開
監督・脚本:タイ・ウェスト
製作:イーライ・ロス
出演:ジョー・スワンバーグ、AJ・ボーウェン、ケンタッカー・オードリー、ジーン・ジョーンズほか
2013年/アメリカ/100分/シネスコ/デジタル/原題:The Sacrament/R15+
字幕翻訳:高橋ヨシキ
配給:東京テアトル、日活
(c)2013 SLOW BURN PRODUCTIONS LLC
公式サイト:sacrament-death.jp

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