新垣結衣、白髪コスプレの破壊力ーー『掟上今日子の備忘録』人気の理由に迫る

 日本テレビ系で毎週土曜夜9時から放送されている『掟上今日子の備忘録』にて、主役の掟上今日子を務めている新垣結衣。4話放送の時点で平均視聴率11.5パーセントと、今季のドラマの中で好調な様子がうかがえる本作だが、その高視聴率に一役買っているのは、ドラマ開始前から注目を集めていた主人公のヴィジュアルだろう。アイコニックな白髪に大きな丸メガネ、身につけている服装に至るまで原作小説のイラストとまったく同じ姿をしている。そんな一見コスプレともとれる格好は、ファンの間で賛否両論の声を呼んだ。

 新垣が演じる役どころは、1日ごとに記憶がリセットされるため、秘密厳守でどんな事件も1日で解決する“忘却探偵”掟上今日子(おきてがみきょうこ)。同作は、そんな彼女が毎回何かの犯人に間違われてしまう“史上最も運の悪い男”、岡田将生演じる隠館厄介(かくしだてやくすけ)の巻き込まれる事件を、天才的な推理力で解決していくミステリーとなっている。

 新垣結衣といえば、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(2006)の高校生役や、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(2008)のフライトドクター候補生役など、どちらかというと”清純”や”正統派”というクリーンなイメージが定着しているが、昨今出演する作品の傾向をみると、彼女のキャラが変化してきているように思える。例えば、漫画『らんま1/2』の同名ドラマ(2011)では天道あかね役として学生服姿を披露し、『リーガルハイ』(2012)ではナースや舞妓といったコスチュームにも挑戦した。その度にネットでは「新垣結衣のコスプレが可愛すぎる!」といった見出しの記事が溢れ、筆者もついクリックしてしまったものだった。そして、今回の『掟上今日子の備忘録』では、とうとう2次元からそのまま抜け出してきたような姿を見せている。数々のコスチュームに挑むうちに、いつの間にかリアルを越えた存在になってしまったかのように。

 否定的な意見もちらほら見えたヴィジュアル公開当初、筆者もまた白髪という部分に違和感を感じていたのだが、実際にドラマを見てみると予想に反して良い。一日で記憶がリセットされるという性質上、深い人間関係を築こうしないサバサバとした印象を受けるのだが、時折見せる無邪気な仕草や表情がたまらなく魅力的だ。一見すると、突拍子もないルックスだが、常に冷静な判断をくだし、的確な推理で難事件を解決していく掟上今日子のキャラクターと合わせてみると、絶妙なバランス感があり、実に説得力があるのだ。正統派の美少女でありながら、幅広い役柄で身につけたコミカルな一面を持つ新垣結衣だからこそ、こうした役柄を違和感なく演じられるのだろう。

関連記事