『映画ちいかわ』なぜ大人の心を揺さぶる? 歌手、批評家、ホラー書評家がコメント続々

 公開中の『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』をめぐり、音楽家や批評家、映画監督ら著名人の感想が相次いでいる。「怖い」「深い」という声から、宗教や友情をめぐる考察まで、その反応はキャラクター映画の枠を大きく越えるものだ。

 歌手の平原綾香は8月4日、自身のXを更新。ひとり焼肉を訪れた際、店長から「平原さん、一人暮らしなら ちいかわですよ」と勧められ、ほとんど予備知識のないまま映画を鑑賞したという。観終えた直後の感想を「っっっこっわっ!!!!!」と表現しつつ、物語の奥深さに納得したことや、ちいかわの世界に「どっぷりハマってしまいそう」と告白。さらに、自由奔放なうさぎに自身と通じるものを感じたと明かした。

 サニーデイ・サービスの曽我部恵一も8月2日、「映画『ちいかわ』とんでもなかった」と投稿した。曽我部は同作から親鸞の「悪人正機」を連想したといい、作家個人の思想だけでなく、人類が何千年にもわたって問い続けてきたテーマへ正面から向き合う作品だと評価。

 怪奇幻想ライター・書評家の朝宮運河は、予備知識がないまま鑑賞した経緯を報告。「恐かった。ミステリだしホラーだった」と率直につづり、後から思い返すほど胸を締め付けられる「傑作」だったと絶賛した。さらに翌日には、映画監督・脚本家の佐藤佐吉による投稿が鑑賞のきっかけだったと明かしている。その佐藤も、島二郎が登場するタイミングについて「映画的にも脚本的にも完璧だった」と、物語構成の面から高く評価した。

 批評家の杉田俊介は8月3日、同作から「友情の大切さと危うさと刹那性」を感じたと投稿。ちいかわたちの世界では友情が大きな支えになる一方、友情ゆえの罪も生まれ得ると読み解いた。その後も『メイドインアビス』や『HUNTER×HUNTER』との共通点に言及するなど、作品をめぐる考察を展開している。

 『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は、ナガノによる漫画『ちいかわ』の人気長編エピソード、通称「セイレーン編」を映画化した作品。ナガノが原作・脚本を担当し、及川啓が監督を務めた。7月24日に全国447館で公開され、公開3日間で観客動員150万人、興行収入22.4億円を突破。週末動員ランキング初登場1位のスタートを切っている。

 朝宮が佐藤の投稿をきっかけに劇場へ向かい、平原も身近な人物から勧められて初めて『ちいかわ』に触れた。すでにファンである人々の感想だけでなく、予備知識を持たない著名人の驚きが、さらに新たな観客を呼ぶ口コミとして広がり始めている。記録的な初動に続き、異分野へ連鎖する感想が作品のロングヒットを後押ししそうだ。

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