太田愛初の短編集収録作『十月の子供たち』英訳版が公開 “絶望の果ての希望”描く

 太田愛初の短編集『最初の星は最後の家のようだ』(光文社)に収録されている「十月の子供たち」の英訳版が公開された。

 今回英訳された「十月の子供たち」は、2025年6月に刊行された太田愛初の短編集『最初の星は最後の家のようだ』に収録されている一編。二卵性双生児の〈わたし〉と〈ぼく〉が、ある十月の金曜日の夜、母親に連れられ〈びっくりキャンプ〉へと赴くことになるが、向かったのは納戸の奥にある地下室で……と物語は始まっていく。

 同書の帯にコメントを寄せた翻訳家・金原瑞人が「十月の子供たち」を絶賛し、他言語への翻訳を提案したことがきっかけとなった。法政大学名誉教授の滝沢カレン アンが英訳を担当し、金原の協力のもとで翻訳が完成。英訳版と日本語版を掲載した特設サイトを太田自身が開設した。今後は他の言語での翻訳も検討されているという。

金原瑞人(翻訳家) コメント

まず、「十月の子供たち」が素晴らしい。どこともわからない場所に生きる双子の姉弟の物語は、現代を見事に写してみせる。エンディングにそっと差し出される、絶望の果ての祈りに似たかすかな希望。終わりの数ページは一編の詩としか思えない。

太田愛(おおた・あい)

香川県生まれ。1997年、「ウルトラマンティガ」で脚本家デビュー。一般ドラマからアニメーションまで幅広く執筆。特に「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマで高い評価を得ている。2012年『犯罪者クリミナル』(後に『犯罪者』に改題)で小説家デビュー。13年『幻夏』で第67回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)にノミネート。17年『天上の葦』は発表直後より、高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描いた内容で大きな話題となる。20年『彼らは世界にはなればなれに立っている』で第4回山中賞受賞。23年『未明の砦』で第26回大藪春彦賞受賞。2025年、「十月の子供たち」が収録された初の短編集『最初の星は最後の家のようだ』を刊行。2026年7月『犯罪者』がAmazon Primeでドラマ化予定。

■書誌情報
『最初の星は最後の家のようだ』
著者:太田愛
価格:1,980円(税込)
発売日:2025年6月30日
出版社:光文社

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