日本初の女性化学者・黒田チカの生涯を描いた物語 『物が全てを教えてくれる』冒頭ページが公開

 伊多波碧の『物が全てを教えてくれる 日本初の女性化学者・黒田チカ』(徳間書店)が2月27日(金)に発売される。

 大正時代、日本の帝国大学は男だけの学び舎だった。それでも彼女は、学ぶことを諦めなかった。幼い頃から学問への熱い想いを抱いていた黒田チカは、学齢前に尋常小学校に入学、姉のクラスで授業を受ける。佐賀師範学校、東京女子高等師範学校を経て、チカは東北帝国大学理科大学(現在の東北大学)へ入学を果たす。研究テーマは天然色素。世間の嘲笑と制度の壁を前に「知」を選び続けたチカは長年の研究で数々の賞を受賞。なかでもタマネギの皮に含まれる〈ケルセチン〉の血圧降下作用――チカが明らかにしたそれは百年後、私たちの健康を支えている。日本の化学史に刻まれた、確かな挑戦の物語。彼女の名は若き女性化学者たちの後押しとなる「黒田チカ賞」としていまも残されている。本書の冒頭34ページ分が特別公開されている。

 伊多波碧は「黒田チカさんは、日本初の女子帝国大学生のうちの一人です。帝国大学が女子に門戸を開いた初年度に合格を果たし、のちに理学博士となりました。『女性に学問は不要』とされた時代に、好きな化学への道をひたすら歩き続けた方です。佐賀で生まれ、福井を経て東京、仙台へ。さらには海を渡り、外国でも学びを深めました。誰と争うことなく、自分の道を信じて生涯研究を続けた黒田チカさん。歴史の偉人というより、身近にいる素敵な先輩のように感じていただけたら嬉しく思います。」とコメント。

 担当編集者は「近年、女性の先駆者として朝ドラ『虎に翼』のモデルになった三淵嘉子さんが広く知られるようになりました。しかし、そのさらに前の時代、化学の最前線で道を切り拓いた女性がいました。CMや健康番組などでよく耳にする『ケルセチン』。現代の私たちの健康を支える成分を発見した、日本初の女性帝国大学生の一人、黒田チカです。周囲の偏見や制度の壁に阻まれながらも、研究の道を切り拓いていくチカの姿にエールを送りたくなる、読めば元気をもらえる物語です。」とコメントした。

著者プロフィール

伊多波碧(いたば・みどり)
1972年新潟県生まれ。信州大学卒業。2001年に作家デビュー。2023年「名残の飯」シリーズで第12回日本歴史時代作家協会賞シリーズ賞を受賞。主な著作に『紫陽花寺』『ささやき舟』『父のおともで文楽へ』『裁判官三淵嘉子の生涯』等がある。

■書誌情報
『物が全てを教えてくれる 日本初の女性化学者・黒田チカ』
著者:伊多波碧
価格:2,090円(税込)
発売日:2026年2月27日
出版社:徳間書店

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