キャラとの年齢差も関係なし! 上戸彩が実写版『SAKAMOTO DAYS』坂本葵役で突き進む「国民的良妻女優」の道

 目黒蓮主演の実写映画『SAKAMOTO DAYS』で、上戸彩が主人公・坂本太郎の妻・坂本葵を演じることが発表され、大きな注目を集めている。


 『SAKAMOTO DAYS』は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の鈴木祐斗による人気コミックを「銀魂」シリーズで知られる福田雄一監督が実写映画化する作品で、かつて“最強の殺し屋”として恐れられた坂本太郎(目黒蓮)が恋をきっかけにその世界から足を洗い、のどかな町で「坂本商店」を営みながら妻の葵と娘の花と穏やかな日々を送っていたものの、再びかつての仲間や宿敵たちによって戦いの渦へと引き戻されていくというストーリーだ。

 葵は優しさの中にも強さを併せ持つキャラで、上戸は今回の出演について、「迫力あるシーンがたくさんある中で、坂本葵の登場シーンは、コメディ要素の中にも“家庭の温かさ”を感じられる場面が詰まっていると思います。作品全体の中で小さなアクセントになっていれば嬉しいです」とコメントしている。彼女の柔らかい口調や穏やかな表情が、殺伐としたアクションの中で“日常”を感じさせる。その効果を見越しての起用であることは間違いないだろう。

 もっとも原作での葵は20代中盤の設定だが、上戸の実年齢は40歳。28歳の目黒とは10歳以上の年齢差があるため、「さすがに違和感があるのでは?」という声が一部で上がった。しかしその一方で、「上戸彩なら全く問題ない」「年齢を感じさせない透明感と包容力がある」と期待する声も多い。これまで数々のドラマで“国民的良妻女優”の地位を確立してきた上戸にとって、このキャスティングはむしろ新たな挑戦といえるだろう。

 そもそもコミックの実写化作品でキャラクターと俳優の年齢が一致しないのは珍しいことではない。重要なのは年齢ではなく、役に“説得力”を持たせられるかどうかだ。たとえば、実写版『ゴールデンカムイ』では、山田杏奈が原作では10代前半に見えたアイヌの少女・アシリパを20代前半で演じたが、その堂々とした存在感と無垢さで高い評価を得た。また、『推しの子』の実写版では、二宮和也が若いカリスマ的存在である黒幕・カミキヒカルを演じた。原作より一回りほど年上のキャスティングだったが、二宮は特有の静かな狂気と柔らかな笑みで「年齢差を感じさせない怖さ」を生み出し、ファンから「想像以上にハマっていた」と絶賛されている。さらに、『銀魂』では堂本剛が高杉晋助を原作より年上で演じたが、妖しい色気と重厚な狂気を漂わせ、むしろキャラクターに深みを与えた。これらの例が示すように、年齢設定の違いは作品の完成度を損なうものではなく、むしろ俳優の力量を際立たせることもあるのだ。

 上戸も、まさにそうした俳優の一人である。ドラマ『半沢直樹』での花、『アイムホーム』での恵、『となりのチカラ』での灯など、上戸は「家庭を支える女性」を一貫して演じ続けてきた。その姿には“理想の妻像”が自然と重なり、視聴者の心をつかんできた。怒るときも柔らかく、悲しむときも気丈で、どんな状況でも相手を思いやる眼差しを失わない。そうした「強さと優しさの両立」が、上戸という女優の最大の武器だ。

 また、上戸の“良妻イメージ”は、決して明るく可愛いだけのものではない。彼女のキャリアをたどれば、『3年B組金八先生』での性別違和を抱える生徒役や、『あずみ』での暗殺者役、『昼顔』での不倫に溺れる人妻役など、影を抱えたキャラクターも多い。悲しみを秘めた微笑みや、過去を受け入れて前を向く姿にこそ、彼女の女優としての深みがある。葵もまた、夫の過去を知りながら支え続ける“強い妻”であり、上戸がこれまで培ってきたすべての経験が生きる役どころだ。

 さらに注目したいのは、上戸と目黒蓮という異色の組み合わせだ。目黒はSnow Manのメンバーとしてアイドル的な人気を誇る一方で、『月の満ち欠け』や『silent』などで繊細な演技力が高く評価されている。上戸も「その誠実なお芝居が大好きでした」とコメントしており、二人の間に流れる“信頼関係”がスクリーンでも自然に伝わってくるだろう。原作に描かれた夫婦の距離感を、年齢差ではなく心の深さで埋めていく――それが今回の実写版での見どころになりそうだ。目黒ファンの間でも「恋愛的な緊張感がないぶん安心して観られる」「芝居に集中できる」との声が多く、上戸の起用が作品への信頼感を高めている。

 制作プロダクションのCREDEUSは『キングダム』『ゴールデンカムイ』など、スケールの大きな映像作品を多数手がけてきた実績があり、今回も高い完成度が期待されている。「国民的良妻女優」として上戸がまたひとつ新たな代表作を刻むことになるだろう。

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