松任谷由実の人生を作家・山内マリコが小説に 『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』が文庫化
山内マリコによる『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』が11月6日(木)にマガジンハウスより発売される。
本作は、日本の音楽シーンを半世紀以上にわたり牽引してきたシンガーソングライター、松任谷由実の少女時代から荒井由実としてデビューするまでを描いたノンフィクション・ノベル。八王子の裕福な呉服店に生まれ、幼少期からピアノに親しみ、清元を学び、立教女学院でパイプオルガンと出会う日々。高度経済成長期の東京を自由に駆け抜け、音楽的感性を磨きながら、17歳で鮮烈なデビューを果たすまでの軌跡が、山内独自の筆致で描かれる。
単行本刊行時には、松任谷由実本人が「山内さんの大いなる好奇心が、私自身もすっかり忘れていた愛を、思い出させてくれた。こんな機会を与えていただけて、本当に良かったと思う。つくづく私は、”ユーミン”以外のものにはなれなかったのだなあと、覚悟とも諦めともつかない幸せな気持ちで、この小説を読み終えた。」とコメントを寄せ、大きな反響を呼んだ。彼女自身の“ユーミン”としての宿命を再確認するような一冊として、多くのファンの胸を打った。
今回の文庫化にあたり、エッセイスト・酒井順子が解説を執筆。装画は羽鳥好美、ブックデザインは大島依提亜が担当し、より多くの読者に手に取られる形となった。目次には「八王子の由実ちゃん」「マギーと立川基地」「カルチエ・ラタン的御茶ノ水」「ハロー、キャラメル・ママ」など、ユーミンの原点を鮮やかに浮かび上がらせる章題が並ぶ。
著者の山内マリコは、映画化もされた『あのこは貴族』や『ここは退屈迎えに来て』で知られる気鋭の作家。本作ではユーミンの軌跡を、自身の文学的感性を交えて立体的に描き出し、時代と音楽と個人史が交差する“青春記”として新たな魅力を提示する。
松任谷由美 コメント
これはノンフィクションというより、ルポルタージュに近いかもしれない。
山内マリコさんの獰猛な取材力とインタビューに、記憶のボタンが次々とクリックされ、私は幼少期を、青春を、サーフィンしまくった。目眩く楽しかった。
これは多くの人たちが好きなサクセスストーリーの真逆だから、全くシンパシーが得られなかったとしても仕方ない。正に、"事実は小説よりも奇なり"。
ひとりの特異な少女が、50s、60s、そして70sの、東京カルチャーとカウンターカルチャーに彩られ、特異なまま大人になってゆくお話。
山内さんの大いなる好奇心が、私自身もすっかり忘れていた愛を、思い出させてくれた。
こんな機会を与えていただけて、本当に良かったと思う。
つくづく私は、"ユーミン"以外のものにはなれなかったのだなあと、覚悟とも諦めともつかない幸せな気持ちで、この小説を読み終えた。
――松任谷由実
目次
第一章 八王子の由実ちゃん
第二章 ピアノ、清元、サウダージ
第三章 立教女学院とパイプオルガン
第四章 マギーと立川基地
第五章 らせん階段の家
第六章 フィンガーズ・デイズ
第七章 一九六九年
第八章 カルチエ・ラタン的御茶ノ水
第九章 セブンティーン!
第十章 ハロー、キャラメル・ママ
あらすじ
八王子の裕福な呉服店に生まれ、ピアノに触れ、清元を学び、ミッション系の女子校生活を謳歌。高度経済成長期の東京を自在に回遊し、才能を開花させ、シンガーソングライターとして10代でデビューを飾った荒井由実。のちに日本最大の女性ポップスター、松任谷由実=ユーミンとなる煌めく才能は、いかにして世に出たか。その原点と軌跡をノンフィクション・ノベルとして描き出す。
著者プロフィール
山内マリコ
1980年、富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR‐18文学賞」読者賞を受賞。12年、初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行。ほかに21年映画になった『あのこは貴族』や、『一心同体だった』『マリリン・トールド・ミー』『逃亡するガール』など著書多数。
■書誌情報
『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』
著者:山内マリコ
価格:990円(税込)
発売日:2025年11月6日(木)
出版社:マガジンハウス