【漫画】大正時代の軍人、百貨店で何を買う? コワモテ×かわいいギャップにキュン『世界でいちばん美しいひと』
ーー本作を創作した経緯を教えてください。
ふじちか:本作は先日発売された短編集『世界でいちばん美しいひと』に収録された、描き下ろし作品「困ります、お客様」です。元々は違う作品を描いていたんですけどなかなか上手くいかず、違う方向に舵を切って完成したのが本作でした。
ーーかわいい物が好きな軍人の背中を押すストーリーが魅力的でしたが、物語はどのように生まれたのでしょうか。
ふじちか:私自身、キャラクターのギャップが大好きなんです。ギャップがあるキャラクターを描きたいなと思って、思いついたのが“かわいい物が好きなコワモテの軍人さん”でした。キャラクターから物語を膨らませていった感じですね。
ーー大正時代の百貨店を描くうえで、こだわった点はありますか?
ふじちか:やっぱりリアリティにはこだわりましたね。当時の百貨店の写真や人物の写真を参考に、リアルな空気感を醸せるよう意識しました。読んでくださる方に「大正時代の百貨店に自分も買い物に来ている」と思ってもらえるような、没入感が高まるような描写を大事にしました。
ーー作中に登場するブタを模した商品には「どうぶつ人形」と記されていましたね。当時は実際にそのように呼ばれていた?
ふじちか:そうですね。当時は「ぬいぐるみ」という言葉がまだ一般的ではなくて、そのように呼ばれることもあったようです。細かい部分からも、リアリティを感じてもらえると嬉しいです。
ーー本作のなかで、ふじちか氏自身が気に入っているポイントは?
ふじちか:かわいい物を見る軍人さんの表情がやはり好きです。あと、私としては最後のページも気に入っていますね。主人公の表情とか百貨店の様子とか、良い出来かなと思います。
ーーふじちか氏が漫画を描き始めたきっかけは?
ふじちか:小さい頃から絵を描くのが好きで、小学2年生のときから漫画を描いていました。好きな作品の模写をしたり、自分でオリジナル漫画を描いたり。
ーー小学生の頃からずっと漫画家を目指していたんですね。
ふじちか:それが実はそうではなくて、小学2年生のときに結局オリジナル漫画を完成させられず、そこで1度挫折したんです。絵は描き続けていたんですけど、次に漫画を描こうと思ったのは大学生の頃でした。
大学生の頃に『スパイダーマン』がきっかけで、アメコミの制作に興味を持ったんです。そのときちょうど講談社で、「スパイダーマン」をテーマにしたマンガ賞が開催されていると知りました。応募したらありがたいことに佳作をいただいて、そこから「やっぱり漫画を描くのって面白いな」と今に至ります。
ーー最後に、今後はどのような漫画を描きたいですか?
ふじちか:私はキャラクター同士で巻き起こる、色々な感情の化学反応みたいなものが大好きなんです。恋愛関係はもちろんですがバディの友情や敵対関係など、見ていて心踊る様々なキャラクターの関係性を描いていきたいと思います。