「ちいかわ」MLB、くら寿司、チャルメラ……有名企業とのコラボ続々の背景は?
今最も人気のキャラクターと言っても過言ではない『ちいかわ』。業種を問わず様々な企業やブランドとコラボレーションを繰り広げており、たとえファンでなくとも日常で目にすることが多々あるのではないだろうか。今年3月には、ドジャースの大谷翔平らが帰国し、東京ドームで開催された米大リーグの開幕戦「MLB TOKYO SERIES 2025」とのコラボグッズが発売に。即刻完売となり、まもなく受注生産が決定するなど、国内外で大きな話題となった。
「老若男女から愛される」多方面から引っ張りだこの理由は"ファンの幅広さ"
『ちいかわ』はイラストレーターのナガノが約5年前からX(旧Twitter)で連載している漫画。泣き虫だけど一生懸命なちいかわ、穏やかでポジティブなハチワレ、破天荒に見えて友達思いな一面も持つうさぎなど個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる、楽しくて、ちょっぴり切ない物語だ。2022年4月から「めざましテレビ」(フジテレビ系列)内でTVアニメ『ちいかわ』の放送が始まると、さらに人気に火がつき、講談社から現在7巻まで発売されている単行本『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』はシリーズ累計発行部数は360万(2024年11月時点)を超える。グッズやコラボカフェ、出版、ゲーム、企業コラボなど幅広く展開されており、ファンからも「供給過多」「お金がいくらあっても足りない」という嬉しい悲鳴が漏れ聞こえてくる状態だ。
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それほどまでに多方向から引っ張りだこの理由は、第一にファン層の幅広さにあると見られる。データマーケティング・メディア「マミナミ」の調査によると、ちいかわファンの男女比率は男性が34.9%、女性が65.1%で1:3となっており、同じゆるキャラで人気のある『おぱんちゅうさぎ』や『すみっコぐらし』に比べると男性比率が高い。また、ちいかわは特に子供から愛されているイメージがあるが、年代構成比を見ると20代〜40代の層が最も厚いことが分かる。その中でも未婚者が多いそうだ。20代〜40代の未婚者といえば、働き盛りで比較的、お金にも時間にもゆとりがあり、それらを趣味や推し活に費やす傾向にある。そのため、企業側がコラボの効果を感じやすいのではないだろうか。
くら寿司、チータラ、チャルメラ…コラボ商品が大きな話題に
実際に食品メーカーのなとりは2023年〜2024年に「なめらか チータラ」のちいかわコラボパッケージを販売したところ、売上が伸長し、特に「10〜30代女性の獲得に成功した」と発表している(※2)。2024年3月には回転寿司チェーンのくら寿司が全国の店舗でちいかわとのコラボキャンペーンを開催した。すると、回転レーンに登場するキャラクターやコラボグッズが当たる「ビッくらポン」を目当てに客が押し寄せ、同月の既存店売上が対前年123%に(※3)。他にも理由はあるかもしれないが、同社は「圧倒的にちいかわの効果」と回答している(※4)。
またコラボではないが、松永製菓のお菓子「しるこサンド」や明星食品のインスタントラーメン「チャルメラ」(のちにコラボ商品も発売された)、香港名物のチャーシューメロンパンなど、『ちいかわ』に登場した食べ物が話題になることもしばしば。2023年12月に投稿された漫画でハチワレがちいかわに餅の入ったいなりを紹介すると、「いなりあげもち」を発売するもち吉のWebサイトにアクセスが集中し、一時繋がりにくい状態となった。それだけ影響力が大きければ、あやかりたいと思う企業が多いのも無理はない。最近でも東京土産として有名な「東京ばな奈」、チロルチョコ、丸美屋食品、靴下屋、msh株式会社が発売するリキッドアイライナー「ラブライナー」など、様々な企業や人気商品とコラボし、話題を呼んでいる『ちいかわ』。