『カグラバチ』トレンド入りした最新話のキモは食事シーンにあり? 殺伐とした世界観の中で「食べる」ことの意味
※本稿は『カグラバチ』の単行本未収録のエピソードに触れています。連載を未読の方はご注意ください。
連載開始より国内外から話題を集め、今後『鬼滅の刃』らに並ぶのではないかと目されているマンガが、外薗健による剣戟バトルアクション『カグラバチ』だ。戦時中、異能を刀に宿した妖刀を作り出した稀代の刀匠・六平(ろくひら)。戦後、息子のチヒロと人里離れた工房で静かに暮らしていたが、突如妖刀を狙う謎の組織・毘灼(ひしゃく)に襲撃され、厳重に保管していた妖刀はおろかその命までも奪われてしまう。盗まれた6振りの刀を取り返すべく、チヒロは六平が唯一守り抜いた7振り目の刀を手に血みどろの復讐劇を繰り広げていくーー。
読者大号泣だった最新71話
異能と刀による大迫力なバトルも見ものだが、時折織り交ぜてくる日常を写し出したシーンは、殺伐とした世界の中でも彼らが血の通った人間であると感じさせる重要な一コマとなっている。
それを証明するかのように、3月10日発売の『週刊少年ジャンプ2025年15号』に掲載された本作71話がXのトレンド入り。戦時中に妖刀を握り英雄の一人となった座村清一の娘・イヲリの封印された記憶を描いた今話は、「切なすぎる」や「良すぎる涙が止まらない」など大きな反響を呼んだ。
その内容は、人を殺めた血だらけの手では娘を抱けないとして家族から離れた座村が、元妻・イノリが病気を患ったことを機に娘のイヲリと一緒に生活するというもの。これまで子育てをしたことがなかった座村が戸惑う様子や、正座してイノリから説教を受ける姿など、新たな一面には思わずクスッとしてしまう。
一番の反響を呼んだのは、座村とイヲリが協力してイノリのために作り上げたお弁当を「うまい!!この上なし!!」「元気満タン 最高!!」と明るく話したのを最後に、イノリが亡くなってしまったシーンだ。イヲリの将来を見届けたかったと言いつつも力尽きる彼女の姿には、多くの読者が涙を拭ったことだろう。