もうひとつ、今回のシャリアのキャラクターデザインの良さも人気の要因に挙げられるだろう。もともとテレビ版から「ロマンスグレーのナイスミドル」としか言いようのないルックスだったシャリアだが、『GQuuuuuuX』では髪の色が薄めの青緑色になり、デザインもぐっと今風のイケオジに。セクシーさすら感じさせる見た目に大変身してしまったのである。丁寧で実直そうな物腰なのに、腹の底にはじっとりした情念を抱えたイケオジ……。見事な要素の盛り合わせっぷり。これがさまざまなオタクに突き刺さった結果、空前のシャリア・ブルブームが発生したのである。

　が、「新作ガンダムの準主役がシャリア・ブル」というのは、シリーズのファンからすればギョッとするようなサプライズ要素だ。公開から数週間経ったものの、SNSではなにかとネタバレに配慮が必要……ということで生まれた符牒が、「緑のおじさん」だったわけである。「ネタバレはしたくないけど、なんとかしてこのキャラクターについて語りたい」という熱量が、「緑のおじさん」という一見何が何だかわからない名称を生んだ。それだけの熱量を発生させる何かが、『GQuuuuuuX』のシャリア・ブルにはあったのだ。

 「現代のオタクにグッサリと刺さるキャラクターがシャリア・ブル」という点も驚きだが、まさかネタバレ避けの暗号が必要なほどSNSでシャリア・ブルについて語られる日が来るとも思っていなかった。冒頭が映画館で公開されただけでこの騒ぎなら、実際に『GQuuuuuuX』のテレビ放映が始まったら一体どうなってしまうのか。戦々恐々としつつ放送を待つ今日この頃である。