【漫画】好きだけど、恋人にはなりたくない……SNS漫画『恋人になんてならないよ』の愛しい関係性


ーーアーティスト・やくしまるえつこの手掛ける作品のような雰囲気を覚えた漫画でした。

魚須えり個(以下、魚須):やくしまるえつこさん、好きなのでうれしいです。

ーー本作を創作したきっかけは?

魚須:「恋人」という名前がついていることで、2人の関係におけるステップやゴールが決められてしまうのはもったいないと思っていました。よく「恋のABC」と言われていますが、A・B・Cの3つしかないのってすごく少ないと思いますし、「C」でゴールを迎えてしまうことも変だなと思って。そのため、たとえば指相撲をしたりとか、自分たちだけの関係をつくる本作を描きました。

ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?

魚須:お互いに異なるポーズをとりながら階段を上がっていく回想シーンです。その人とだけの素敵なことをしている理想のシーンであり「すごくお似合いだな」とか「2人は感性が合っているんだな」と見えるように描きました。

ーー2人の様子がとてもかわいかったです。この行動はどのように思いついた?

魚須:中学生のとき、実際に私が友人とやっていた行動です。翌日、筋肉痛になりました。

ーー佐野さんと小野寺くんにとっての「A」である「四股を踏む」の着想はどこから?

魚須:相撲を見るのが好きなので「四股を踏む」にしました。SNSでの投稿には「たしかにAっぽい(見た目が)」というコメントが寄せられていて、私も「たしかに」と思いました。

ーーちなみに2人にとっての「B」は?

魚須:「リリアンをする」とかがいいかなと思います。
(※リリアン:手芸用の組糸。または組糸をニッチングと呼ばれる筒状の編み機を用いて編んだもの)

ーー佐野さんの友人もいい味を出していました。

魚須:恋人ができてしまったら、ときに友情がおざなりになってしまうことはあると思います。ただ私は佐野さんと小野寺くんの関係と同じぐらい、佐野さんと友人の関係も大切なものとして描きたかったです。

 佐野さんは小野寺くんに夢中になるというよりも、友人のことも小野寺くんと同じくらい大切であり、友人も佐野さんの理解者になってくれているーー。だから友人は佐野さんたちが急に四股を踏み出しても驚かず、2人を「ヨイショー」と応援したのだと思います。

ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。

魚須:絵を描くことはずっと好きでしたが、本腰を入れて作品を描くことはなく、落描きとしてイラストを描き続けていました。ただコロナ禍となり家にいることが増えたので、貯まったイラストをSNSに投稿してみると絵を描いている人とつながることができ、とてもうれしかったです。

 それからSNSで作品を発表したり、ZINE(個人が有志で発行する出版物)をつくったりするようになりました。

ーーZINEをつくった背景は?

魚須:コミティア(一次創作物の同人誌即売会)に出展したいと思いZINEをつくりました。コミティアに出展したかったのはインターネット上でつながれた作家さんたちと実際に会ってみたいなと思ったからです。

 自分でZINEをつくって、好きな作家さんのブースを巡って。作品への感想を直接言うことができたり、自分への応援の声をいただいたりなど、すごく楽しかったです。

ーー今後の活動について教えてください。

魚須:面白い漫画をたくさん描いていきたいです。また即売会などのイベントにもたくさん出ていきたいなと思います。

関連記事