40歳からの“まんが道” 芸人・ごめたんに聞く、話題のグルメ漫画『カーシェアグルメドライブ』誕生秘話
漫画描いて凄いなと思ったのは、360度すべてのアングルが使えること
──一グルメについてもお聞きします。クルマがないときから、食に対する熱量は高かったほうですか?
ごめたん:はい。食は一日の楽しみグラフが急上昇する瞬間ですから。漫画のためではなく、いつでも楽しみにしていました。第1話に登場する「蒙古タンメン中本」は10年以上通ってきたお店ですし。
──一庶民的なお店が多いですよね。
ごめたん:一般的なお値段で旨いものが出てきたほうが断然嬉しいですよね。安いお店ばかりではなく、お店の暖簾や看板の書体が美味しそうだと、思わず吸い込まれることもありますし、選び方はいろいろです。
──一そのセレクトが絶妙に良いです。
ごめたん:ありがとうございます。食べログの点数がめっちゃ高かったら、美味しくても漫画には描きません。僕の中で、3.2くらいがアツいんです。バレてるやつにはバレているという絶妙な知名度、そこを掘るのが好きで。そうはいっても、有名なお店も登場するんですけど、基本的にはそんな楽しみ方をしていますね。どうなるかわからないドキドキ感も含めて。
──一いろいろ聞くと、改めて本当に新しいグルメ漫画ですね。
ごめたん:休みの日に家にいると6時間なんてあっという間じゃないですか。でも、その時間でウマいもの食べて帰ってくるだけで、1日がこんな楽しくなるんだって発見があったんです。9時に出発して帰ってきても15時。もうひとイベントできる余裕がありますからね。一日の幸福度がたった6時間でこんなにアガるんだって。
──一まさに至福の6時間。今後、続編はどうなるんですか?
ごめたん:旧車を買ったら、『僕と旧車の物語』もいいかなと。故障もたくさんするでしょうし、良い物語になるでしょう。ただ、クルマじゃなくてもいいかもしれません。せっかく成長してきた漫画の技術を、別のジャンルで活かすのもありかなとも思っています。ただ悲しいかな、今のところ話がこないんですよ(笑)。
──一体験談を漫画にするフォーマットはあるので、何でもできそうです。
ごめたん:フィクションも描いてみたいですけどね。ただエッセイの方が、芸人がやってきたトークに組み方が似ていると思うので、やりやすい気もします。
──一漫画とコントを作るのでは、どれくらい共通点があるものですか?
ごめたん:コントとは近いかもしれません。ただ、漫画描いて凄いなと思ったのは、360度すべてのアングルが使えること。舞台だと前しか使えませんから。見せたい角度を見せられるのが漫画のよいところですね。
──一漫画では、過剰に笑わせないところがいいですね。たんたんと物語が進んでいく。
ごめたん:それは意識しました。漫画では笑いに逃げるのは違うというか、そっち行ったら楽じゃないですか。なので、そこにあったものを描くという選択を常にしています。変に話を盛って面白くしないように。だって、友達に驚かれましたもん。「こんなに話を盛らずに本になるんだ」って(笑)。
──一漫画家としての手ごたえはどうですか?
ごめたん:今は漫画を描くのが楽しい時期なので、まだまだ成長していきたいと思っています。グルメ漫画ひとつとっても、本当に奥が深いですよ。食べるときの口のカタチとか難しいですし、歯まで描くとグロい印象になるんだとか、そういう発見があるうちは、漫画も飽きないでしょう。
──一興味深い話ばかりで、もう一度読み直したくなる読者も多いと思います。読むほどに味が出るというか。次回作も楽しみです。
ごめたん:はい。オファーはいつでもお待ちしております。まだまだ僕を成長させてください!
『カーシェアグルメドライブ 車を買えない大人の至福の6時間』
徳間書店より刊行中
著:ごめたん
通常価格:2,310 円(税込)
https://www.tokuma.jp/book/b651215.html