〈令和の米騒動〉米穀店で聞いた「不作・減反」だけではない大きな理由とは?

■まだまだ続く? コメ不足

米不足と価格上昇はいつまで続く? 写真:photolibrary

 深刻なコメ不足が続いている。関東近郊のスーパーマーケットを覗いてみると、コメのコーナーに何も並んでいない、そんな光景を日常的に目にするようになった。ここ1週間で徐々に稲刈りが進んでいる千葉県産の新米が入りつつあるようだが、入荷をしたら即完売になる店舗は少なくなく、米不足は当面続きそうな状況だ。

  いったいなぜ、これほど深刻なコメ不足を招いているのだろうか。「政府が大規模な地震の発生を煽ったからコメの買い占めが起きた」「日照条件の問題でコメ不足が起きた」「減反などの長年の生産調整の問題だ」など、様々な要因が指摘されている。しかし、こうした問題は複合的な要因で起きることが基本なので、原因を一つに絞るのは困難だ。

 その一方で、ネットではこうした声もあった。スーパーにはまったくコメがないのに、個人経営の米穀店に行ったら、在庫が豊富にあったと言うのである。このことから、「問屋や農家がコメをわざとスーパーに売らないようにして、値を釣り上げているのではないか」という憶測も呼んだが、これは正しい見方とは言えない。

■米穀店の店主はどう見る

 そもそも、スーパーと米穀店では仕入れ方法が異なることが多い。スーパーは在庫が少なくなった時点で問屋にコメを注文するから、現在のような品不足に陥る状況になっている。対して、米穀店ではあらかじめ契約農家と直接取引をしていることが多い。そのため、米騒動となった時点でも在庫がある店舗がまだまだあった、というのが正解であろう。

 東京・板橋にある老舗米穀店の店主によると、新米の季節となったことで、コメの供給量は増えつつあるようだ。しかし、「例年より3~4割どころじゃない値上げになっている」と、コメ不足の状況を憂いつつ、ため息混じりにこう話す。

 「新米を仕入れても、こんなに高かったらお客さんが買ってくれるかわからないよね。これから9月になれば供給量が増えるから値段は安定してくると思うけど、うちでは皆さんにコメが行き渡るように1人2キロまでの販売にしている。けど当日分は開店早々になくなってしまう」

■小麦の供給不足がコメ不足を招いた?

 また、ある米穀店では、「昨年のコメの不作で供給量が減ったことで、現在のような状況になっていることもあるけれど、ウクライナの戦争で小麦の値段が上がったことも原因の一つでしょう」と話す。

  小麦の値段が上がったことで、深刻な影響を受けたのが学校給食である。給食費は食材の値上げとなると大きな打撃で、少ない予算内で管理栄養士はやりくりする必要がある。そのため、近年、主食としてパンから値段が安定していたコメへと代替が行われるケースが多かった。そのため、コメの供給量不足に拍車をかけたという見方もある。

  そんな状況下で起こったのが、2023年のコメの不作である。ところが、農水省もメディアも、2023年の不作をこれまで大々的に報道してこなかった。そのため、ほとんどの人はコメに対する意識を改めることなく、例年通りにコメを買い、今まで通りに食べていた。これが今夏の大規模なコメ不足を招いたという指摘もある。ただ、地方ではスーパーでもまだまだ山積みでコメがあるとのSNSでの投稿もあり、在庫量は地域によっても異なるようだ。

 コメはもはや日常的にありふれているもので、いつでもどこでも手に入るというイメージが強かった。しかし、突如巻き起こった令和の米騒動は、そうしたコメに対する認識を一変させるに至ったといえる。


参照:https://www.youtube.com/watch?v=QUyPdr8Iefo

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