【webtoon試し読み】ブレイク必至の話題作『魔物喰らいの冒険者』 タフな主人公が痛快な異世界ファンタジーの新星を見よ

 急伸を続ける縦スクロール&フルカラーの漫画「webtoon」というシーンで、国産作品が勢いを増している。2024年1月に日本国内の月間販売金額が1.2億円を突破したバトルアクション『神血の救世主~0.00000001%を引き当て最強へ~』(制作:Studio No.9)、米WEBTOONにおける2024年6月の月間販売金額で全体2位という快挙を成し遂げた『かたわれ令嬢が男装する理由』(制作:ソラジマ)など、ヒット作が続出。そんな中で、ブレイクの軌道に乗っている新作がある。『魔物喰らいの冒険者~俺だけ魔物を喰らって強くなる~』(原作:錬金王/キャラクター原案:かわく/制作:壱松けい・フーモア)だ。

タフな主人公×ユニークスキルの説得力

 複数の迷宮を保有する辺境の都市・バロナには、訪れた冒険者のステータスを刻々と下げてしまう「瘴気迷宮」が存在する。誰もが嫌厭する迷宮だが、Eランク冒険者のルードはその常連。ユニークスキル「状態異常無効化」の恩恵を受け、低階層で弱い魔物を狩りつつ、瘴気を浄化する薬草を採取することを生業としていた。「瘴気漁り」と馬鹿にされる日々ーーそんな現状を打破すべく、ルードはあるパーティーの荷物持ち(ポーター)として新迷宮の探索に参加する。しかし、思わぬ強敵の出現で捨て駒にされてしまい……。

 というのが物語の冒頭だ。あまりにも不遇なルード。しかし、その中でも自ら生きる道を探すタフさがあり、「瘴気漁り」と揶揄されても決して卑屈にならず、Sランク冒険者になるという「夢」を持ち続ける気高さが感じられるのがいい。ルードは驚くべきスピードで成長していくことになるが、「チートスキルのおかげで奇跡的に強くなった」ではなく、「タフに生き抜いてきた末に、もともと持っていた才能=スキルが開花した」というイメージで、その活躍に説得力があるのだ。絶体絶命のルードがどのように窮地を脱するのか。もちろん「魔物を喰らって」強くなるわけだが、そこに「状態異常無効化」のスキルが効いている。

 そもそも、この世界で魔物を喰らうことは「禁忌」とされている。魔物の肉を口にすれば言葉にできないほどの高揚感と肉体の強化が得られるが、いずれ激しい頭痛や吐き気、酩酊感などの状態異常を引き起こし、壮絶な死を迎えるか、魔素に取り込まれて魔物と化してしまうからだ。しかし、状態異常に完全な耐性を持つルードだけはそのリスクを負わず、魔物を喰らうことの恩恵を受けることができる。喰らうことで魔物のスキルまで自分のものになることに気づいたルードは、人目を避けつつ秘密の「食事」を続け、頼れる冒険者に成長していく。

多くの見所を備え、“異世界グルメ”がスパイスに

 当初こそ魔物を「貪り食う」ことで難を逃れたルードだったが、余裕が生まれるとともに「おいしく食べる」ようになっていく。読者には“異世界グルメ”という新たな楽しみが生まれるとともに、不遇だったルードが生活に楽しみを見出していくことが微笑ましくも思えてくる。孤独だった彼が、「肩代わり」というスキルで他人の状態異常を引き受け、癒していく姿もエモーショナルだ。

 ロールプレイングゲームやバトル作品を愛好する読者にとって「状態異常/バッドステータス無効」はロマンであり、新たに取得したスキルを用いた戦略性のある戦闘描写は垂涎。さらに周囲を見返していく「リベンジ」、信頼できる仲間とともに成り上がっていく「サクセス」という痛快な要素も備えた上で、読者のお腹まで鳴らせるのだから、まだ20話を過ぎたばかりの本作が人気を獲得しているのも納得だ。また8月21日(水)からは、マンガUP!(スクウェア・エニックス)にてコミカライズ版も連載。アース・スターノベルから刊行されている原作小説の注目度もさらに上がっていくだろう。いずれ世界を席巻するかもしれない国産webtoonの注目作をぜひ、今からチェックしておこう。

『魔物喰らいの冒険者~俺だけ魔物を喰らって強くなる~』
作品URL:https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0003316
原作:錬金王 アース・スターノベル刊
キャラクター原案:かわく
制作:壱松けい・フーモア

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