『呪術廻戦』虎杖悠仁の成長が驚異的……“宿儺と対をなす術師”になる運命なのか

 
(c)芥見下々/集英社

※本稿は『呪術廻戦』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。

 『呪術廻戦』は「術式」という名の特殊能力が飛び交うバトルファンタジーだが、その主人公・虎杖悠仁はイレギュラーな存在だった。呪術師であるにもかかわらず、ほぼ“拳1本”で戦ってきたからだ。しかし現在連載で描かれている両面宿儺との決戦では、虎杖が驚異的な成長を遂げつつあり、これまでにない戦い方を見せ付けている。

  そもそも虎杖は五条悟から術式と呪力の関係をレクチャーされた際、生得術式を持っていないことを告げられ、その後は「体術に呪力を上乗せする」という戦闘スタイルを貫いてきた。

  変化が起きたのは、現在まで続く最新エピソード「人外魔境新宿決戦」が始まったタイミングだ。虎杖は宿儺との戦いに備え、自身の“兄弟”である「呪胎九相図」の4番から9番を体内に取り込んだらしく、加茂家に相伝する術式「赤血操術」を使えるようになっていた。さらに「黒閃」の発動に伴う覚醒によって、身体に刻まれていた宿儺の術式「御廚子」も使えるようになっている。

  体術に2つの術式を織り交ぜた戦い方は、ほかの術師と比べてかなりオリジナリティがあるといっていいだろう。とはいえそれぞれの術式自体は、あくまでほかの術師から受け継いだものであり、独自の能力ではない。また術式の仕上がり方からいっても、下位互換といった印象だった。

  そんななかで読者の度肝を抜いたのが、7月16日発売の『週刊少年ジャンプ』33号(集英社)に掲載された第263話「人外魔境新宿決戦(35)」での描写。「御廚子」における通常の斬撃、「解」(カイ)によって、宿儺に敗北を予感させるほどのダメージを与えてみせたのだ。

  どうやらこの「解」はたんなる斬撃ではなく、術式対象の限定によって伏黒恵と宿儺のあいだにある魂の境界を“切り離す”もののようだ。これは「魂の輪郭」を感知できるという虎杖ならではの術式の使い方だろう。

  さらにある意味では、虎杖が宿儺と対をなす術師になりつつあることを暗示する描写だったようにも思われる。

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