『攻殻機動隊』ゴースト、全身義体、電脳化……公安9課と草薙素子を取り巻く難解なSFキーワードを徹底解説

 2023年にTVシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』が20周年を迎え、2026年には新作TVアニメが放送されることが発表となった名作『攻殻機動隊』。圧倒的な情報量と難解なセリフが特徴の本作をより面白く観るため、「ゴースト」や「全身義体」「攻性防壁」など、本作ならではのSF用語を解説したい。

義体化、電脳化しても損なわれない人間のアイデンティティ「ゴースト」

 最初に紹介するのが作中頻繁に登場する「ゴースト」という言葉だ。本作主人公で、内閣総理大臣直属の特殊部隊「公安9課」の少佐・草薙 素子が多用するこの言葉は、作品公式によれば「人間にのみ存在するとされる、人間と機械を隔てるもの。霊魂のこと」とされている。

 「霊魂」と言われてもピンとこないが、アニメ『攻殻機動隊 S.A.C.』内で草薙が「そうしろってささやくのよ。あたしのゴーストが」というセリフを発しており、彼女のセリフをそのまま解釈するなら一種の直感のようなものを指している、と考えられる。

 しかし、同シリーズの公安9課のメンバーであるバトーと思考戦車・タチコマとの会話の中では、この言葉が単なる「直感」でないことも明かされている。バトーが自分の搭乗する1体だけに特別なオイルを与え、それによってタチコマたちがそれぞれ自我を持ち始め、神や人間について思考し始める、というストーリーだ。タチコマはこの回で、バトー相手に、自分たちと人間の違いについて「僕たちって基本的な構造がデジタルなわけじゃない?だから僕たちがいくら情報を集積していっても、今のところゴーストは宿らない。でも、基本がアナログベースなバトーさんたちは電脳化したり義体化したり(サイボーグになること)してデジタルな要素を増やしていってもゴーストが損なわれることはない。しかも、ゴーストがあるから死ぬこともできる」と見解を述べている。

 さらに、士郎正宗による漫画「攻殻機動隊」内で、草薙は「脳潜入」に関する会話で「そろいも揃ってゴースト近くまで潜って来やがって」「これだからデリカシーのない野郎共を脳に入れるのは嫌なんだ」と発言している。人間ならではのアイデンティーでサイボーグになっても消えず、さらに脳と関係するもの。ゴーストとは、「感情」や「思考」のようなものなのかもしれない。

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