【漫画】ひとりぼっちのおばあさんを救ったのは小さなライオン? 『ティーカップライオンのライライ』が可愛くて優しい

もともと絵本が大好きだった

――『ティーカップライオンのライライ』を制作した経緯を教えてください。

しまのまし:数年前にキッズ向けのファッション誌で4コマ漫画の連載をいただきました。キッズ向けのキャラクターを模索する中で『ティーカップライオンのライライ』を思いつき、そこから漫画制作を始めました。

――数年前の作品なのですね。

しまのまし:はい。後々連載終了したのですが「漫画を描き続けたい」という沸々とした思いが心のどこかにありました。そんな中、漫画家養成スクール『コルクマンガ専科』を昨年受講して、表現方法を広く学んでいったんです。そして、「卒業制作で何を描こうか」と悩んだ結果、「原点に戻ろう」と考えて『ティーカップライオンのライライ』の第1話を描きました。とはいえ、そこで描いたものにどうしても納得できず、コルクマンガ専科の修了後も推敲を繰り返し、現在の第1話が完成しました。

――そもそも、なぜ絵本に登場する小さい動物をメインにしたのですか?

しまのまし:もともと絵本が大好きだったということが大きいです。また、今回公開した1話ですが、「ティーカップアニマル達が活躍する姿を自分が見たい描きたい」という思いがベースにあります。そのため、ティーカップアニマル達だからこそ活躍できる場所やシチュエーション、人物との接点を考えました。

――一つ一つの動きが可愛らしいティーカップアニマル達ですが、デザインはどのように考えたのですか?

しまのまし:私がチビフェチ、ふんわりボディフェチということもあり、「小さく丸くしたい」という思いはありました。各キャラに数十パターンものラフを描き、現在のデザインに至ります。また、どこか動きにくそうな体つきをしているため、何をするにしてもちょっとムリしている感じが出ていることが、可愛らしさにつながっているのかもしれません。

リアリティを足した理由

――ポップなファンタジー要素がありながらも、夫を疎ましく思うご近所さんがいたり、家の中がゴミ屋敷になっていたりなど、現実的でシリアスな要素も多かったです。ファンタジーとリアリティのバランスはどのように調整しましたか?

しまのまし:ここが1番悩んだところかもしれません。「物語はどこかに“痛みや苦しさ”がないと共感には結びつきにくい」と考えています。ティーカップアニマル達の活躍する姿はどうしても描きたく、「辛い思いをしている誰かを助ける」という内容につながりました。そして、その思いにリアリティを持たせるため、誰にでも想起できそうなシチュエーションを考え、それらを物語に落とし込みました。

――なぜリアリティを持たせるため、嫌なご近所やゴミ屋敷を選んだのですか?

しまのまし:やはり共感です。誰でも見たこと、感じたことのあるような不快な風景やシチュエーションということで選びました。会話中に相手の気持ちを考えないご近所さんの言葉、その言葉に対して気にしてないフリをするフウさん。ゴミ屋敷は、夫のホノさんさんが亡くなったことに対するやりきれない気持ち、ずっと整理されないフウさんの心情を表現するために必要だと考えました。また、こういったシーンを入れることで、その暗さが明るくなるまでの落差が出ると考えました。

――今後の漫画制作における展望を教えてください。

しまのまし:以前、漫画家の浦沢直樹さんが「漫画家になりたい人と漫画が描きたくて仕方がない人は違う」とおっしゃっていました。その言葉を「“漫画が描きたくて仕方がない人”の向こう側にしか“漫画家になれる”はない」と勝手に解釈しており、私自身少しずつ漫画が描きたくて仕方ない段階に来ていると思うことが最近あります。この状態を続け、SNSを中心にできるだけ多くの人に漫画を読んでいただけるような工夫を今後考えていきたいです。

――ちなみに『ティーカップライオンのライライ』の行方は?

しまのまし:夫婦が出会ったキッカケに、過去にいた家族、ライライたちのコミカルな話などを描いていく予定です。余裕がある時には他の漫画にもチャレンジしたいと考えています。よろしくお願いします!

■しまのましさんのX
https://x.com/cimanomaci

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