漫画業界注目!「MANGA甲子園」なぜ話題?『白山と三田さん』くさかべゆうへい“創作技法”公開への思い

■くさかべ先生の下積み時代

くさかべゆうへい氏は「白山と三田さん」で一気に人気作家へとなったがそれまでにさまざまな悩みもあったと語る。

――くさかべ先生は、2021年から「週刊少年サンデー」で『白山と三田さん』を連載し、先日100話で完結しました。異色のギャグ漫画であり、ラブコメ漫画としても評判になりました。デビューまでの苦労話を伺いたいです。

くさかべ:編集者に見せて初めてギャグ漫画が向いていると気づきました。僕はデビュー前、『NARUTO』などのバトル漫画が好きで、同じようなタイプの漫画を描いていました。ところが、編集さんに読んでもらうと、そこそこのウケしかもらえませんでした。

――先生がギャグ以外の作品を描いておられたとは、驚きです。漫画家さんはしばし、「描きたい漫画」と「描ける漫画」の狭間で苦悩するといわれますが、先生にとって転機はなんだったのでしょうか。

くさかべ:それまでは真面目なテンションでアクション漫画を描いていたので、ちょっとコメディ要素を入れてみたんです。『ワンパンマン』のような感じですね。そしたら、キャラクターが面白いと編集さんに言ってもらい、それならばとキャラの個性を活かしたギャグ漫画を描いてみたら、初めて自分で面白いと実感できる漫画が描けたんですよ。編集さんからの反応も良く、その後はギャグ漫画の研究を重ね、新人賞に入賞できました。

――先生も描ける漫画のジャンルを見つけるまで、試行錯誤を重ねたんですね。

くさかべ:もちろん、描きたくないものを無理やり描く必要はないのですが、自分はこれしかできないと思い込みすぎない方がいいと思います。「MANGA甲子園」の出演者にも、ギャグを一度も描いたことがない人がいたかもしれませんが、苦手意識があったものに挑戦してみたら、案外描けたりするかもしれない。僕の「笑える漫画」というお題も、そういった気づきのきっかけになればと思いました。