『ワンパンマン』ONE原作、期待の新連載『バグエゴ』がヤバい “ウラワザ”めぐる不可思議なジュブナイル

 1月18日発売の「ヤングジャンプダイイチワvol.2」にて、『ワンパンマン』や『モブサイコ100』で知られるONEが原作を手がける『バグエゴ』(作画:設楽清人)の第2話が掲載。「読み切り」から「連載」となり、ファンが沸き立っている。

 そもそも『バグエゴ』は、「掲載作品がすべて連載第1話」という新規軸を打ち出し、2023年4月に刊行された「ヤングジャンプダイイチワ(vol.1)」に読み切りとして掲載された作品だった。現在、「となりのヤングジャンプ」にて第1話が無料で読めるので、未読の方はぜひチェックしてもらいたいところだが、これがヒットメーカー・ONEの尖ったアイデアが爆発した傑作として、漫画好きの間で評判になっていたのだ。

 舞台は、とある高校。親切な男子転校生・羊谷真は、いつも孤独に過ごしている同級生男子・黒堂武弘を気にかけ、日々の生活で役立つちょっとした“ウラワザ”を教えていた。「“緊急時”は職員用トイレを使う」「夏休みの宿題を友人の答えを見ながら最終日に一気に終わらせる」など、それは学校生活を賢く生き抜くライフハック。そんななか、黒堂も羊谷にウラワザを教えるという。しかしそれは、「自動販売機である手順を踏めば、必ず同じ場所に鳥のフンが落ちてくる」という、何の役にも立たないものでーー。

 ONEはなぜ次々と、このように絶妙に読者の関心を惹くアイデアを生み出すことができるのか。すでに大ヒットを記録している『ワンパンマン』や『モブサイコ100』はもちろん、昨年11月に2巻が発売されたばかりの新作『バーサス』(漫画:あずま京太郎/構成:bose)も、人類がさまざまな“天敵”に脅かされる複数の世界線が交わり、存亡をかけた戦いに挑むという斬新な異世界ファンタジーで、他の作品と比較するとシビアな物語だが、続きを心待ちにするファンが増加している。

 『バグエゴ』についても、設楽清人による迫真の作画もあって“ウラワザ”に秘められた謎をめぐるスリリングな面白さがありながら、ONEらしいアイデアとユーモアがしっかり出ているのがいい。

 第1話では、「雲が部分的に消えていくウラワザ」や「胃が空(から)の状態で排泄するウラワザ」など、何の役に立つのかわからないものから、「誰もいない場所で人の囁き声が聞こえてくるウラワザ」「特定の古いCDを特殊な再生方法で流すと何も音は出ないが鳥肌が立ち耳鳴りがする」など、ちょっと怖い都市伝説のようなものまで、一つひとつ掘り下げるだけでもエピソードになりそうなウラワザが頻出。ネタバレは控えるが、第一話では、そのなかで極めて有用ながら再現にかなりのリスクを伴うウラワザが登場し、大きな展開を迎えることになった。物語として美しいオチがついたが、第二話にどうつながるのか、というのは読んでのお楽しみだ。

 ちなみに、ONEは本作について「文章による原作担当」と明かしている。実力のある漫画家が、ネームを切らなくてもONEの構想を具現化してくれるなら、まだまだ世に出てくる面白いアイデアがあるのでは……と考えてしまうのは求めすぎだろうか。いずれにしても、『バグエゴ』の連載化で、漫画好きの楽しみがひとつ増えたことは間違いないだろう。

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