『プリティーシリーズ』ファン、なぜ電車を貸し切りオフ会実施? 作品への熱すぎる“情熱”を探る 

女児向けコンテンツの筆頭

  2011年にアニメの放映が始まった『プリティーリズム』から、『プリパラ』『キラッとプリ☆チャン』『ワッチャプリマジ!』など、女児向けのコンテンツとして人気を博してきた「プリティーシリーズ」。アニメの放送は『ワッチャプリマジ!』を最後に、2022年に終了していた。

  ところが、12月4日に幕張メッセで開催されたライブ「プリパラ&キラッとプリ☆チャン&ワッチャプリマジ! Winter Live 2023」夜公演の終盤で、2024年4月から新作テレビアニメが放送されると発表。瞬く間にXでトレンド入りするなど、SNSは大いに湧いた。

  プリティーシリーズを支えるのは熱烈なファンである。ライブの翌日、「プリティーシリーズ」のファンが集まり、千葉都市モノレールの車両を貸し切ってオフ会が開催されたほどだ。アニメの放映後も衰えることがないファンの作品愛、強い結束力の要因はどこにあるのだろうか。オフ会の主催者である、けやき通り氏とプリズムまなか氏に話を聞いた。

当日の貸し切り車両の内部の様子。両側の座席にぬいぐるみを並べた光景は壮観だ。写真=プリズムまなか

 モノレールを貸し切ってオフ会を開催

――Xのポストを拝見させていただきましたが、ライブの翌日に電車を貸し切ってオフ会を開催するとは凄いですね。実施を思い立った理由を教えてください。

けやき通り:僕とプリズムまなかさんは、アニメ好き、そして鉄道好きという繋がりがあり、一緒に同人サークルをやっていました。ある日、私のXのフォロワーが叡山電鉄や阪堺電車の車両を貸し切って、『アイドルマスター』や 『Re:ステージ!』、まんがタイムきらら系の作品でオフ会をやっていることを知りました。また、「hololive SUPER EXPO 2023」で運営側が新幹線を団体臨時列車として運行しているのを見て、『プリティーシリーズ』のファンの間で電車を貸し切り、オフ会をやったら楽しいだろうなと思いました。

――そして、さっそく行動に移したわけですね。最初から千葉都市モノレールにしようと決めたのですか。

けやき通り:いえ、最初は12月4日のライブの前日に都電荒川線でやろうと思っていたんですよ。ところが、残念なことに前日も翌日も予約で埋まっていたのです。他にできる電車がないか探したところ、会場の近くを走っている千葉都市モノレールも貸し切りできると知りました。幸いにも翌日に予約が取れて、実行に移した感じです。

――会場の近くですし、結果的に良かったですね。最終的に何人集まったのでしょうか。

けやき通り:僕のXのフォロワーを中心に、18人が集まりました。ライブに来る人を狙って声をかけたんですよ。参加者は、北は北海道、南は福岡県などかなり幅広く、新潟県、愛知県などそれこそ全国から来てくださいました。遠征される方は宿泊することが多いので、ライブの翌日だとかえって集まりやすかったようです。

座席にかわいらしく並んだぬいぐるみたち。奥には痛バッグや真中のんの等身大パネルも。写真=アイカ
真中のんのぬいぐるみがこんなにたくさん。写真=ユウ

ぬいぐるみやパネルを持ち込んで大盛り上がり

――実際に開催して、いかがでしたか。

けやき通り:まず、千葉都市モノレールさんが凄く親切で、いろいろと融通をきかせてくれました。開始時刻などのダイヤまで、細かく相談に乗ってもらえて嬉しかったですね。当日は盛りあがらなかったらどうしようと不安だったのですが、楽しすぎて、結果的に時間が足りなかったほどです。

プリズムまなか:車内で『プリティーシリーズ』に関するクイズ大会をやったりしました。曲のイントロを流して曲名を当てたり、歌っている声優さんを当てたりとか。『プリパラ』のサブキャラの名前を当てるクイズも出題しましたね。あとは、みなさんが持ち寄った『プリパラ』や『キラッとプリ☆チャン』のぬいぐるみ、“ぱんぱん”を座席に並べました。その光景は壮観で、“ぱんぱん専用車”みたいになっていましたね。僕もスーツケースが“ぱんぱん”に膨れ上がってしまうほど、大量に持ち込みました。

けやき通り:等身大パネルを持ってきた方もいましたし、私もタペストリーを持っていきました。なかには初代『プリティーリズム』の貴重なグッズなどを持ってきた方もいて、そのコレクションは凄かったですね。

停車駅にて外から撮影した車内の様子。「通過駅でも一時停止していましたが、他のお客さんからすれば二度見不可避な光景でした」と、プリズムまなか氏。写真=プリズムまなか
プリズムまなか氏が当日持ち込んだぬいぐるみたち。写真=プリズムまなか

  ここで解説を加えておこう。『プリティーシリーズ』のファンの間では、ぬいぐるみが一種のマストアイテムのようになっているといわれる。特に公式ショップで販売された着せ替えぬいぐるみは、ぱんぱんに膨れた顔をしていることから、“ぱんぱん”の愛称で親しまれている。

  特に、『キラッとプリ☆チャン』に登場するバーチャルプリ☆チャンアイドル・だいあのぬいぐるみは、“だいあぱん”という愛称で人気が高く、熱烈な愛好家も多い。だいあを演じた声優の佐々木李子にも認知されて人気に火がつき、一時はネットオークションで数万円で取引されるなど、突出した人気を誇っている。

ぱんぱんの代表格である“だいあぱん”。写真=山内貴範

――“ぱんぱん”と呼ばれる、ぬいぐるみのかわいらしさはどこにあると思いますか。

けやき通り:顔がぱんぱんしていてかわいいですし、一緒にいるだけでQOLが上がるんです。サイズも絶妙な大きさで、不思議と癒されると言いますか。僕は鉄道好きなので、日本全国連れて行っています。

プリズムまなか:僕も今年は北は岩手県、南は鹿児島県まで一緒に旅行しました。過去には北海道の稚内や根室まで旅したこともあります。電車で隣が空いていると、ぱんぱんに隣にポンと座ってもらうこともあります。将来的には、ぱんぱんとヨーロッパの“プリパリ”に行きたいですね。

けやき通り:荷物も多くなって大変ですが、ぱんぱんと一緒に旅する旅情は何物にも代えがたいものがあります。『ラブライブ!』に“ねそべり”のぬいぐるみがあるように、ぱんぱんは『プリティーシリーズ』の文化の一種になっていると思います。

日本最東端の駅である根室本線のJR東根室駅まで、プリズムまなか氏は“らぁらぱん”と一緒に旅をしたそうだ。写真=プリズムまなか

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