『呪術廻戦』呪いの王、両面宿儺なぜ強い? 力ではなく知性で人を蹂躙する“最強”の理由を考察

※本稿は『呪術廻戦』単行本最新刊までのネタバレを含みます。


 『呪術廻戦』の世界において、史上最強の存在と言われている“呪いの王”こと両面宿儺。実際にその術師としての実力は、いまだ底が見えてこないほどに圧倒的だ。しかし実は宿儺の強さの本質は、単純な力ではなく、むしろ知性にこそ宿っているのかもしれない。

  10月4日に発売されたコミックス24巻は、まさに宿儺の知略がこれでもかと発揮された巻だった。まず注目すべきは、伏黒恵の身体を奪うことになった第212話の事件だ。

  そもそもの布石として、宿儺はかつて少年院での戦いの後、虎杖悠仁と“とある契約”を交わしていた。それは「契闊」の言葉を合図として、虎杖に1分間肉体を明け渡させるというものだ。当然、虎杖は契約を受け入れようとしなかったが、誰も殺さず、傷つけないという縛りを設けることで妥協に至っていた。

  この伏線は長らく放置されていたが、第212話でついに実行に移されることに。宿儺は縛りに「虎杖自身を傷つけること」が含まれていないと読み、虎杖の肉体から小指をちぎる。そして伏黒に無理やり飲み込ませることで、受肉先を虎杖から伏黒に変えたのだ。一見何の問題もないように見える契約を結ばせ、その穴を付くことで最大の利益を得るという、長期的かつ巧妙な作戦がそこにはあった。

  さらにその後、宿儺は来栖華に受肉した「天使」の能力によって危機を迎えるが、またも邪悪な知略を披露。幼い頃から伏黒に想いを寄せていた来栖の心理を利用し、ハニートラップのような作戦を仕掛けることで、逆転勝利を収めている。

  もしかすると宿儺は虎杖に受肉していた頃から来栖を観察・分析し、その弱点を利用する方法を考えていたのかもしれない。来栖を見事に騙した演技力は、人間の心理に対する理解度の高さを物語っている。

  さらに宿儺は虎杖と禪院真希を相手に戦った際、臨機応変な戦いぶりを見せていた。直接的な攻撃手段をとると、自身の内側にいる伏黒の妨害によって呪力出力が落ちることに気づいた宿儺は、間接的に2人を攻撃する術を瞬時に編み出したのだ。


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