【連載】『ガンダムZZ』は“見なくていい”作品なのか?

『ガンダムZZ』アムロ/カミーユと違う主人公像と、シリーズの不文律から離れたZZという機体ーー12話に表れた特異性を考察

 一方で、「ハイメガキャノンの発射直後は全エネルギーがダウンする」というZZガンダムならではの弱点も描写している。本編の中では「この弱点によって、ジュドーは即座にリィナを追いかけられなかった」という形で、うまく弱点の描写がストーリーに組み込まれているのもさすがである。だが、このような「高威力だがリスクのある、一撃必殺の兵器」は、現実的には兵器に組み込みにくいものだ。装填に時間のかかる巨大な大砲などは存在するが、それらは基本的に陣地攻撃などに使う大型の兵器だ。一度使ったらそれだけで動けなくなるような武器は、実際に兵器として採用するにはリスクが大きすぎるのである。

 ということは、ZZガンダムは「同時代のロボットアニメよりもリアルな兵器・リアルな戦争を描写する」というガンダムシリーズの不文律からはそれなりに距離のある機体だといえるだろう。主役は生々しい兵器らしさではなく「必殺技」を持ったロボットであり、それが圧倒的なパワーで敵機を破壊する作品なのである。これまでとは異なる主人公像と並び、「戦争・兵器を生々しく描く」という方向を積極的に選んでいない作品という点も、『ZZガンダム』の特異な点である。第12話は、そんな特徴が端的に表現されたエピソードと言えるだろう。

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