『呪術廻戦』に刻まれた『BLEACH』の影響……連載初期から存在していた「詠唱」シーン

初期から仕込まれていた呪詞と掌印の概念

 そのほか、伏黒恵が十種影法術の奥の手である最強の式神「魔虚羅」(まこら)を呼び出す際にも、必ず「布瑠部由良由良」と唱える流れがあった。

 やはり、強大な力にはそれだけの予備動作が求められるということなのだろうか。第213話「呪胎戴天-伍-」では、来栖華が「邪去侮の梯子」(やこぶのはしご)という大技を放つ際、「光よ」から始まる長大な詠唱を行っていた。

 さらに詠唱を行うのは術師ばかりではなく、第175話「仙台結界(2)」では特級呪霊・黒沐死が強力な式神を召喚する際に「瞎(くらい)」と3回唱えていたのが印象的だ。

 こうして見ると、呪詞の詠唱という概念が新たに追加された設定ではなく、初期から考えられていた設定であることが分かるのではないだろうか。

 また、作中では呪詞と並んで掌印にも言及されていたが、こちらは読者にとっても馴染み深い要素だろう。なにせ領域展開を行う際には、ほとんどの術師が掌印を結んでいるからだ。

 掌印を結ぶ際には隙ができるため、戦闘時のリスクに直結しているのだが、それでも省略できない理屈が存在するのだろう。

 なお、領域展開ではない通常の術式にも掌印を伴うものはあり、過去には五条悟が「掌印の省略」を練習していたことを匂わせる描写があった。

 省略できる手順と省略できない手順の間には、どんな違いがあるのか。今後何らかの形で説明されることを期待したい

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