『ぼっち・ざ・ろっく!』大ヒットでバンドブーム到来!?  リアルに影響を与える漫画の特徴

 漫画をきっかけにスポーツや趣味にハマる―― これはかつて『キャプテン翼』がヒットした際に顕著に見られた現象で、実際、『キャプテン翼』を読んでサッカー選手を目指し、プロになった人はたくさんいる。『スラムダンク』も日本のバスケットボール人口を大きく増やした作品とされる。

 ひょっとすると、現在大ヒットしているあの漫画をきっかけに楽器を始め、5年、10年後にプロミュージシャンになっている人がいるかもしれない―― あの漫画とは、「まんがタイムきららMAX」(芳文社)で連載されている、はまじあきの4コマ漫画『ぼっち・ざ・ろっく!』だ。

 「きらら」系の漫画は、趣味をテーマにした作品が多い。しかもそのリアリティあふれる描写ゆえ、作品をきっかけに趣味を始める人が続出し、社会現象になる例も少なくない。その筆頭が『ゆるキャン△』で、昨今のアウトドアブームを牽引している作品だが、どうやら『ぼっち・ざ・ろっく!』もそうした影響力をもつ作品になりそうだ。

 単行本が驚異的なスピードで200万部を突破した『ぼっち・ざ・ろっく!』は、電子、紙、両方で広く読まれ、Twitterを見ると国外にもファンが増えているようだ。なぜ、『ぼっち・ざ・ろっく!』がこれほど人を引き付けるのか。それは、ギャグ漫画として楽しめるだけでなく、主人公やバンドメンバーの成長物語になっているため、学園もの、青春ものとしても読みごたえが抜群だからである。

 ライブシーンや楽器を演奏するシーンの表現も見事で、音楽関係者をも唸らせる音楽漫画になっている。そして、SNSを見ると、『ぼっち・ざ・ろっく!』をきっかけにライブハウスを訪れたり、バンドに興味をもつ人が続出しているようだ。

 『けいおん!』がヒットしたときも、作品に惹かれてバンドを組む人が続出した。キャラクターが持っている楽器が爆売れする現象も起きた。同じことが『ぼっち・ざ・ろっく!』のでも起こっており、さらにコロナ禍の自粛が明けて経済活動や音楽活動が再開しつつある絶好のタイミングである。もしかすると、今年はバンドブームが到来するかもしれない。

 アニメが終了してからもその勢いはとどまるところを知ない、『ぼっち・ざ・ろっく!』。ファンが注目するのは、やはりアニメの2期があるのかどうかだろう。引き続き、『ぼっち・ざ・ろっく!』から目が離せない日々が続きそうだ。

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