『HUNTER×HUNTER』最強の念能力者は「ノヴ」? 連載再開に向けて考えたいチート技の“再活用”

 週刊連載に終止符を打ち、新たなペースでの連載再開が待たれる「週刊少年ジャンプ」の人気漫画『HUNTER×HUNTER』。作者・冨樫義博氏は3月9日、自身のツイッターで第401話の完成を報告しており、制作は無事進行しているようだ。

 良くも悪くも長期休載に慣れている『HUNTER×HUNTER』ファンは、首を長くして連載の再開を待ちながら、日々ストーリーやキャラクターの考察を繰り広げている。例えば、「作中最強の能力者」について議論するとき、必ず名前が挙がるのが、前ハンター協会会長のネテロも信頼を寄せた実力者で、現在は物語の本筋から退場している「ノヴ」だ。

 放出系能力者のノヴは、主に「4次元マンション(ハイドアンドシーク)」「窓を開く者(スクリーム)」という二つの能力を使う。「窓を開く者」については使用された描写が限定的だが、両手の間に「窓」を作り、それに触れた相手の体を念空間に移動させるというもので、『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する虹村億泰のスタンド「ザ・ハンド」を思わせる恐るべき能力と思われる。

 そして、あまりに汎用性が高く、この能力があるために、物語に影響を与えすぎないように退場させられたのでは……とも言われてしまっているのが「4次元マンション」。現実世界と隔離された念空間を作り出し、そこに人や物を転送できる能力で、「キメラアント編」で戦略上重要な役割を担った。部屋の入り口はノヴが実際に現地に行って作る必要があり、それぞれの部屋が独立しているため基本的に入口と出口が一致しているが、「マスターキー」を持つノヴはどの部屋にも出入りできる。事実上、距離や空間という制約を無視することが可能なチートスキルである。

 ノヴは心が折れただけで死亡はしていない。重要キャラクターでも容易く命を奪ってしまう冨樫氏のこと、逆に「生かしている」ことの意味を考え、勘繰ってしまうのがファンというものだ。便利すぎる能力の存在は物語を破綻させる可能性も孕むが、一方で無理を通す飛び道具にもなり得る。

 例えば、暗黒大陸に向かう「ブラックホエール号」の中に「4次元マンション」の扉が設置されていたら、蚊帳の外に置かれている主人公・ゴンと本編を繋ぐ重要な役割を果たすかもしれない。また、相手の念能力を奪う「盗賊の極意(スキルハンター)」というもうひとつのチート技を持つ、幻影旅団団長・クロロ=ルシルフルがノヴの能力を奪う、あるいは何らかの契約で借り受けたらどうなるか。神出鬼没で手がつけられない盗賊団が誕生してしまうかもしれないが、彼が単純な悪ではないことを考えると、暗黒大陸の強大すぎる敵に立ち向かう最終プランにもなり得るかもしれない。

 能力バトルの真髄は、単純な「強さ」だけでなくその活用法や相性により、必殺の破壊力や、物語を劇的に動かす力を持つ可能性があることだ。鬼才・冨樫義博が今後、既存キャラクターの念能力をどう活かし、どんな念能力を新たに作り出すのか、連載再開を楽しみにしたい。

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