【漫画】初めての妻との喧嘩、その結末は? 夫婦の関係性を問うSNS漫画が話題

――恥ずかしながら、『初めて妻と喧嘩する話』が実話ベースだと思っており、Fukiさんが男性かと思っておりました……。

Fuki:「絵柄が男性っぽい」と言われたこともありますよ。でも作家がどんな人かわからない方が広く読んでもらえそうでいいですね(笑)。本作のストーリーは、人に優しくしてもらうことに慣れて怠惰になってしまう自分自身について、彼氏と同棲している友達の話などを混ぜたフィクションです。

――たくさんの人に読まれている実感はあります?

Fuki:ここまで読まれるとは思っていなかったです。2022年はスランプに陥ってしまい、SNSで作品をまったく投稿しませんでした。それから新年一発目で取り組んだのが本作で。そうしたら思いのほか、すんなり描けてしまったんです。

 振り返ってみると、描けなかった1年は「商業誌に載るようなラブコメ漫画やファンタジーものを作ろう」という気持ちが強かったですね。少年漫画としては「もう少し派手に」とか「物足りない」と言われることが多くて、青年漫画としてはリアルでダークな要素もない。これで書けなくなりました(笑)。

 でも今回は日常のことを気軽に、そして半分エッセイ風に描いたのが功を奏したのかもしれません。自分が得意なのは「フィクションだけど、どこかリアル」というジャンルな気がします。

――主人公がリモートで在宅ワークする夫婦という題材も今時だなと。

Fuki:自分がしているのでイメージしやすかったのはありますね。現在は漫画のアシスタントをしていて、コロナ禍以降は一気に在宅ワークになりました。正直、支度したり出勤するの時間を、睡眠や別のことに使えるので、今のスタイルの方が楽だなとは思ってます(笑)。

――作中で描かれているのは日本人カップルのコミュニケーション不足ですが、その根本にある要素のひとつは忖度の文化だと思います。

Fuki:「察する」文化で人間関係がこじれますよね……。できるだけ波風を立てたくない、感情のぶつけ合いになりたくない人が性別関係なく多いと感じます。でも不満やネガティブな気持ちを交換する時間が大事だと改めて思うんですよ。「きれいごとじゃん」という感想は少しショックでしたが(笑)、「こうなったらいいよね」という私なりの投げかけなんです。

――個人的に妻の表情や化粧前後のギャップが可愛いくて、ときめきました。

Fuki:以前このキャラが登場する短編を描いていたんです。彼女が漫画家で化粧して変身するという内容だったのですが、それを下地にしたのでキャラクターデザインを気にせずにストーリーに集中できましたね。絵柄で最初に影響を受けたのは高橋留美子先生でよく模写していましたが、特に好きだったのは大高忍先生の『マギ』。

――今後はどんな漫画家になりたいですか。

Fuki:こういうエッセイと創作の狭間みたいな作品は今後も続けて、いつかは色々な作品が描ける作家になっていきたいです。

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