『チリアクタ』『スプートニク』『長谷川無双』……漫画ライター・ちゃんめい厳選! 7月のおすすめ新刊漫画

少年ジャンプ+『正反対な君と僕』阿賀沢紅茶 

 とうに過ぎ去った青春時代。あの頃は誰が誰を好きだとか、誰が誰と付き合い始めたとか、もうそれだけで一大事件だった。例えるならば、そんなあの頃の“お祭り騒ぎ感”をぎゅっと凝縮したのが4作品目に選んだ『正反対な君と僕』だ。

 主人公は、元気いっぱいで誰とでも仲良くできるけれど、実はめちゃくちゃ空気を読んでしまう系の女子高生・鈴木。彼女が惹かれたのは、物静かだけれど自分の意見をはっきり言える谷くんだった。そんな外見や内面すべて正反対な2人が織りなす青春の日々を描く、共感&胸キュンMAXな青春ラブコメディとなっている。

 1話から早々に両想いになる鈴木と谷くんだが、付き合い立てだからこそ沸々とわき上がる“感情の忙しさ”を体現したような描写がたまらない。また、クラスメイトとのふとした瞬間の会話劇にも注目だ。例えば、校内の自販機で偶然出会った時、図書室で試験勉強をしている時……。そんな大人になった今では絶対に味わえないシチュエーションで起きる、些細な、いや、きっと数日後には忘れてしまうであろう何気ない会話の一つひとつがとにかく秀逸。端から端まで詰まっている、青春時代のわちゃわちゃ感をぜひ体感してほしい。

週刊ヤングジャンプ『ゴールデンカムイ(31)』野田サトル

 5作品目に選んだのは、『ゴールデンカムイ』最終巻となる31巻。単行本の表紙が、2018年に開催された「ゴールデンカムイ北海道オールスターズ総選挙」で杉元が1位に輝いた際、野田サトル先生が描き下ろした杉元の単独壁紙イラストを彷彿させると、発売前から話題を呼んでいた。だが、単独壁紙イラストの時よりも、少し微笑んでいるような、そしてどこかやりきったような安堵の表情が印象的だ。

 肝心の本編だが、一つ前の30巻に引き続き加筆修正とページの追加が凄まじい。本誌掲載時ではしっかりと言及、描写されなかった、杉元とアシㇼパの相棒という関係性、そして鶴見中尉と杉元による死闘の裏側など。当時は、ある種の余白として味わっていた部分がより明確に言語化・映像化されたのが31巻だ。本誌掲載時とはまた違った大きな感動に包まれること間違いなし、本誌派の方もぜひ読んでみてほしい。

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