舞台化で話題の『バクマン。』 鈴木拡樹と荒牧慶彦はサイコーとシュージンをどう演じる?
人気漫画家を目指し最高と秋人が手を合わせ奮闘する『バクマン。』であるが、バトル漫画やスポーツ漫画のような派手なアクションシーンは登場しない。登場人物たちが打ち合わせをするシーンや机に向かい漫画を執筆する場面が多く描かれる原作を、舞台としていかに表現するのだろうか。
映画『バクマン。』の見せ方で特徴的だったのは、最高と秋人のライバルである「新妻エイジ」と週刊少年ジャンプの人気順位を争うシーン。彼らは巨大なペンを手に持ち、武器のように振り回して戦うのである。ワイヤーアクションを駆使しながら描かれたこの場面は、直接的に目に見えない人気順位を争う様子をアクションとして見事に表現したのである。
また原作者である大場つぐみ氏と小畑健氏が手掛けた漫画『DEATH NOTE』のミュージカル『デスノート THE MUSICAL』でも演出に工夫が見られた。ステージ後方に設置されたスクリーンを用いて、「夜神月」がデスノートに書くタイミングに合わせて名前が表示されたり、「L」にスポットライトが当たるシーンでは、彼の複雑な思考回路を表すために数式が羅列する映像が流れるのだ。
同作も舞台特有の様々な工夫を凝らした表現によって、原作とは異なる感動を得られると期待される。経験や信頼のある俳優によって演じられる「友情」、そして舞台芸術の技法によって表現される「努力」や「勝利」は、これまで舞台化されてきたジャンプ作品とは一線を画すものとなるだろう。
■あんどうまこと(@andou_ryoubo)
フリーライターとして漫画のコラムや書評を中心に執筆。寮母を務めている。