稲垣吾郎、後輩グループとの対話に表れる“目線”と“隙” ROIROM、BE:FIRST、Number_i、超特急……ファンの心と繋がる瞬間

 稲垣吾郎がボーイズグループのメンバーと話すだけで、どうしてこんなに楽しいのだろう。

 稲垣は、言わずもがなSMAPとして日本のボーイズグループのあり方を大きく塗り替えてきたレジェンドとも呼ばれる存在。それでも、彼がパーソナリティを務めるラジオ『THE TRAD』(TOKYO FM)で繰り広げるゲストとの会話で印象に残るのは、アーティストの先輩としての助言や経験談ではない。後輩たちがのびのびと話し、そんな彼らを楽しそうに見つめる稲垣の姿がある。その眼差しがファンのものと重なる瞬間に、心を掴まれるのだ。

ファンと同じ目線で縮める距離感

 10月19日、ROIROMの本多大夢、浜川路己を迎えた際には、彼らのファンネームである“cHaRm”を用いて、稲垣が「僕らcHaRmは……」と語る場面があった。今年5月にメジャーデビューを果たしたふたり。歩み始めたばかりのタイミングで、稲垣がcHaRmを名乗り、ふたりを応援するひとりとして向き合ってくれること。その言葉が、ファンにとっても、そしてROIROMのふたりにとっても心強く響いたにちがいない。

 またROIROMといえば、お互いを大切に思う姿がファンに支持されているポイントでもある。番組中にも、本多の浜川に対する愛情が自然とあふれる場面があった。たとえば、大切な人へ贈る“サンクスソング”として、本多が「Selfish」(ジャスティン・ティンバーレイク)をファンと浜川に贈りたいと語るのだ。すると、稲垣は「愛の告白を! cHaRmと路己くんに!」と喜ぶ。さらに、ふたりが同時に話し出した際、本多がさりげなく浜川に発言を譲るシーンもあったとアシスタントの山本里菜アナウンサーが振り返ると、稲垣もすかさず「キュンときた! やっぱ思った? ああいうとこなのよ、萌えポイントは!」と声を弾ませるのだ。「やっぱ思った?」という問いは、ラジオの向こうにいるcHaRmにまで届くように投げかけられたのではないだろうか。

 こうしたファンへの語りかけは、2021年12月に放送されたBE:FIRSTのMANATOとJUNONを迎えたときにも見受けられた。稲垣はBE:FIRSTのファンネームが“BESTY”であることを知ると、さっそく「BESTY、聴いてる?」とリスナーに呼びかける。ファンネームは、ファンにとって自分自身のもうひとつの名前のようなもの。直接呼びかけられることで、メンバーだけでなく聴いているファンもその場に迎え入れられた気持ちになったはずだ。

 2025年5月放送回にNumber_iがゲスト出演した際のやり取りも印象的だった。稲垣は彼らの1stフルアルバム『No.Ⅰ』を聴いたことを明かし、「好きな音楽をみんなやっているんだなって感じで」と素直に感想を伝えると、続けて「そんな3人を見てくれているファンがいるっていうのはいいよね。その関係性が」とまずiLYs(Number_iのファンネーム)との絆について言及する。ファンを愛し、愛される関係だからこそ自分らしく活動を続けることができる。長く“国民的アイドル”として歩んできた稲垣にとって、ファンの目線とともにゲストと向き合うことは実に自然な感覚なのかもしれない。

大先輩が見せる、“やられる”隙

 この笑いをファンが受け止めてくれるはず。そんな信頼がより鮮明に表れたのが、先日10月20日に超特急のカイとリョウガを迎えた回だ。トークに張り切るリーダーのリョウガが稲垣に「お目が高いですね」とコメントすると、カイに「なんでお前が稲垣さんを評価する立場に!」とツッコまれる展開に。これには稲垣が「リョウガさんさ、絡みづらいって言われたことある?」と畳み掛け、山本アナウンサーも「はっきり言った! あー面白い(笑)」と大笑い。

 その場は盛り上がっているものの、やはり稲垣の意識は「聴いてる人、大丈夫?」とラジオの向こう側にいるリスナーへと向かう。さらに「8号車(超特急のファンネーム)に僕も好かれたいわけですよ。『私の推したちに、やっぱり吾郎さんはやさしい』って思われて、こっちのファンにもなってほしいわけ。それを虎視眈々と考えてるんだけど、まだうまくハマってない。大丈夫? (8号車の)心、とらえてる?」とぶっちゃけてみせるところも、また稲垣のうまいところ。するとふたりから、ファンも「よく言ってくれた」と言っているはずだ、という言葉が飛び出す。厳密に言えば、その場にはファンの姿はない。それでも、メンバーが稲垣に断言したくなるほど、その反応を鮮明に思い浮かべることができる。ラジオの向こうのファンまで、会話に加わっているような感覚が生まれていくのだ。

 さらに、11月に控えている東京ドーム公演に向けた意気込みを聞かれたときに、「ここ数年、年末に体調を崩すんすよ……」と語るリョウガ。もちろん、稲垣がその発言を聞き逃すはずもなく、「それ、自分の問題だよね? 意気込みなのかな? 8号車が聴いてて喜ぶ?」「アイドルの締めのコメントよ?」とダメ出しが飛ぶ。しかし、リョウガは負けずに「あります? 『これ食べ!』みたいなの」と予想外な食らいつき方をして、稲垣が「知らないよ(笑)!」と思わず吹き出してしまう場面もあった。そして「本当に面白かった! 最高最高!」とリョウガを褒めつつ、「最後に、新しいリーダーになったカイさんに!」と曲紹介を振っていく。ふたりならこの振りを受け止め、ファンも一緒に楽しんでくれる。そんな信頼が感じられる締めくくりだった。

 ファンを巻き込みながら、萌えさせられたり、イジられたりと、“やられる側”になる姿が見える。それが、稲垣×後輩ボーイズグループの絡みの面白さだ。大先輩でありながら、その“やられる”隙をさり気なく与えてくれる。これからも、そんな緊張感とやさしさに包まれる、楽しい時間が届けられることを楽しみにしている。

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