RIIZEからDiplo、HYUKOH、Dynamicduoまで……Spotifyがソウルに建てた“音楽の家”=『Spotify House Seoul 2026』潜入レポ

『Spotify House Seoul 2026』潜入レポ

 ソウル・城東区聖水洞(ソンスドン)に向かい合って建つ2棟の建物が、4日間にわたって音楽に包まれた。一方は昼間、行列に並んで入る体験スペースであり、もう一方は夜になるとライブ会場に変わる。そのあいだの中庭ではDJブースから絶え間なく音楽が流れ、ソウルでも名の知れた店が食事と酒を提供していた。9月10日から13日まで、複合文化スペース・AndersonCで開かれた『Spotify House Seoul 2026』である。10日から12日は夜ごとにジャンルを変えたライブが行われ、最終日は体験プログラムのみが実施された。入場はSpotify Premium会員を対象とした事前申込の抽選制だった。

 Spotifyがこの街に建てた「ハウス」の見取り図は、中庭に立っているだけで見えてくる。アプリを通じて、あるいはライブを通じて音楽をともに楽しむ——その二つのあり方が、ひとつの区画のなかに並んでいた。

体験スペース:アプリの仕組みを現実空間に置き換える

 3階の「Artist Room」は、Spotifyを通じてアーティストの素顔に触れる空間として設えられていた。設置された公衆電話には出演16組全員の名前と番号が記され、ブースで番号を押すと、そのアーティストの肉声が受話器から流れてくる。自動販売機には彼らが選んだ菓子が、プレイリストコードとともに並ぶ。出演アーティストの日常や制作にまつわる私物が展示された部屋では、アーティストごとのプレイリストコードとは別に、一つひとつのモノにちなんだプレイリストのコードまで添えられていた。すべてがSpotifyでの聴取へとつながっていた。

 一方の「Mix Room」には、より能動的にプレイリストをつくる仕掛けが用意されていた。レバーを引くとランダムに4つのキーワードが組み合わさり、「daylist」が出来上がるスロットマシン。その奥の「Play Lounge」では、ジェンガのブロックを引き、書かれた質問に言葉ではなく曲で答えながら、ひとつのプレイリストを完成させていく。複数人がリアルタイムで同じリストを編集する「Jam」機能を、そのままテーブルの上で再現したものだ。1階の「Spotify World Music Cafe」には、ナイジェリア、ブラジル、タイなど各国のプレイリストがメニュー表のように並んでいた。昨年のSpotify Houseが「パーソナライズ」を前面に押し出していたとすれば、今年は好みを人と分かち合い、広げていく方向に重心が置かれていた。

初日:いま最も熱いエレクトロニック&K-POP

 公演は夕方に始まった。初日、最初にステージへ上がったのはYves。LOONAを離れたのちソロ活動を続ける彼女は、PinkPantheressやunderscoresらとの共作を通じて、ハイパーポップやデジコアを吸収した音楽でK-POPの領域を押し広げている。この日はLolo Zouaïを迎えた最新曲「NAIL」をはじめ主要なヒット曲を披露し、ステージ上で客席のスマートフォンを受け取り、セルフィーを撮って返すというファンサービスも見せた。手を伸ばせば届く——この日のステージならではの距離感があってこそ成立する光景だった。

 2番手のRESCENEは、今年の韓国でもっとも話題を集めたグループだ。代表曲「LOVE ATTACK」は2024年8月にリリースされ、同年9月21日にはSpotifyの「Daily Viral Songs」韓国チャートで1位を記録している。だが、この曲が一般層にまで広く届いたのは、それから2年近くが経った今年だった。メンバーのYouTubeチャンネルで公開されたコンテンツがSNSで拡散し、リリースからかなりの時間が経った曲が韓国の音楽チャートの頂点に返り咲いた。この日の時点でも「Spotify Top 50 - 韓国」の10位以内に入っていた「LOVE ATTACK」「Pretty Girl」「Deja Vu」を披露するたび、客席からは大きな歓声が上がった。

Yves
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RESCENE
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Yves
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RESCENE
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 3番手のRIIZEは、2024年にSpotifyの新人発掘プログラム「RADAR Korea」へK-POPボーイズグループとして初めて選出されたチームである。デビュー曲「Get A Guitar」で幕を開け、「Impossible」「Do Your Dance」へと続く20分あまりを、パワフルなパフォーマンスと安定した歌唱で満たした。熱を帯びた歓声のなかでステージを終えたあと、SHOTAROは「客席とこんなに近いステージは久しぶりで楽しかった」と語った。

 トリを務めたのはDiploだ。1時間のDJセットで、彼は自身が制作に関わったK-POPの楽曲を数多くプレイした。BTS「Body to Body」やBLACKPINK「뛰어 (JUMP)」が、彼の手を経て別の姿で鳴り響く。途中にはRESCENEがサプライズで登場して「LOVE ATTACK」を共演し、DiploはDJブースを離れ、頭上でハートをつくりながらともに踊った。

RIIZE
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Diplo
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RIIZE
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Diplo
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 この日の会場にはBTSのJUNG KOOKの姿もあった。彼はステージを見守り、自身のSNSに後輩にあたるRESCENEとRIIZEのパフォーマンス映像をシェアして話題を呼んだ。ほかにもNCTのTEN、ダンサーのGABEEの姿が見られた。ステージに立つ側と観る側の境界が緩やかな空間だった。

2日目:韓国を代表するロックバンドの集合

 前日、ダンスで埋め尽くされていたステージは、この日、楽器を手にしたバンドの面々へと明け渡された。並んだ顔ぶれは、ヘッドライナー級ばかりを集めたロックフェスの縮図のようでもあった。

 JANNABIは2024年の『仁川ペンタポート・ロック・フェスティバル』でヘッドライナーを務め、今年6月からは初のアジアツアーで台北、香港、東京、シンガポールなど7都市を回った。HYUKOHは台湾のSunset Rollercoasterとの共作プロジェクト・AAAでアジア11都市を7カ月かけて巡り、2021年には『through love』で韓国大衆音楽賞「最優秀モダンロック・アルバム」を受賞している。Silica Gelは2017年に同賞の「今年の新人」を受賞したのち、2022年から3年連続で「最優秀モダンロック楽曲」を受賞し、今年はペンタポートのメインステージにも立った。韓国のロックフェスで、この3組の名前がないラインナップは想像しにくい。彼らのステージでは、同じ光景が繰り返された。ボーカルがマイクを客席へ向けると、観客がそのまま歌を引き継ぐ。一節も途切れることはなかった。

JANNABI
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HYUKOH
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Silica Gel
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JANNABI
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HYUKOH
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 KARDIは2021年、JTBCのバンドオーディション番組『SUPER BAND 2』を通じて結成されたチームで、ロックとエレクトロニックを行き来する編成に、伝統楽器コムンゴ(玄琴)の奏者が正式メンバーとして加わっているのが特徴だ。can't be blueは2024年にデビューした5人組のポップロックバンドで、先月ドイツの「Emergenza Festival」で韓国のバンドとして初めて優勝し、話題を集めた。彼らは「Spotify RADAR Korea 2026」の選出アーティストでもある。前日のステージに立ったRIIZEが「RADAR Korea 2024」だった。ジャンルも客層もまったく異なる2日間のステージに、同じプログラムを経たチームがそれぞれ立っていた。

KARDI
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can't be blue
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