新着MVランキング:Kanaria×葛葉「アイデンティティ」首位 対照的な歌声と緊迫感を生むリズムの仕掛け

MV Chart Forcus

 毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、MVをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV  Chart  Focus」。9月25日~10月1日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:Kanaria×葛葉「アイデンティティ」MV
2位:LEE JISOO「MISMATCH」THE FIRST TAKE
3位:Fujii Kaze「You (feat. UMI)」MV
4位:ACEes「Colors」Music Video
5位:Mrs. GREEN APPLE「ア・ポステリオリ」MV
6位:坂道選抜(乃木坂46×櫻坂46×日向坂46)「Audition」MV
7位:MAZZEL × STARGLOW「Nameless MythS」MV
8位:BE:FIRST「DEAD EYES EVERYWHERE feat. ATL Jacob」Special Dance Performance
9位:SixTONES「Shine with U」from『MILESixTONES』
10位:NiziU「Sour Grapes」MV

 今回取り上げるのは、Kanaria×葛葉による「アイデンティティ」のセルフカバーだ。ボカロPで、2024年からはVTuberとしても配信活動を行うKanariaが2022年に発表した楽曲「アイデンティティ」を、にじさんじ所属のVTuber・葛葉とともに歌唱している。この曲は、2020年発表の「KING」や2022年発表の「酔いどれ知らず」はじめ、多くのヒット曲を持つKanariaが、『カップヌードル×プロジェクトセカイコラボ企画』のために書き下ろしたもの。今回のチャートインは、4年半以上の時を経てのリバイバルだ。

 声域の関係でインストゥルメンタルのキーを変更している以外は、楽曲の構成は大きく変わらず、オリジナルのGUMIと初音ミクのパートをそれぞれKanariaと葛葉が担当。メロディを丁寧にたどり、高めの音が映えるKanariaと、息を多く含んでワイルドな節回しで聴かせる葛葉のコントラストが印象的だ。

【Kanaria×葛葉】アイデンティティ【セルフカバー】

 しかし、この機会に改めて聴いて感じたのは、スネアの使い方が独特だということだった。最初のAメロからBメロにかけては、シンコペートするキックに2拍・4拍のバックビートを強調するスネアが重なる、ドラムンベースに近いパターン。サビ前には、裏拍に畳み掛けるようにスネアが鳴る。ところが、最初のサビに入ってからはスネアが消え、パーカッションは4つ打ちのキックとハイハットが中心になる。スネアは以後、Bメロサビ前で再び登場する以外は、やはり不在だ。

 スネア(に限らず、バックビートを強調するクラップやスナップなどのパーカッション)の不在自体がそこまで珍しいわけではないし、Kanariaの他の楽曲にも類例は見られる。たとえば「QUEEN」もバックビートをほぼ強調しない。けれども、やや中途半端に思える位置で姿を消すのはやはりおもしろい。

 4つ打ちは基本的に、前へ前へとドライブしていくリズムで、そこにバックビートのアクセントが加わることでタメが加わって緩急を感じるグルーヴが生まれる。それが楽曲にとって必要なこともあれば、むしろ表現の意図にそぐわないことものもあるわけだ。「アイデンティティ」においては、195というBPMのスピードが、バックビートの不在、さらに加えて言えばハイハットの刻みの細かさによって、より緊迫感にあふれたドラマチックなものになっていると言えるだろう。

【GUMI×初音ミク】アイデンティティ【Kanaria】

※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly

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