なぜf5veはロンドンで爆発的人気を得た? 急遽会場を拡大したイギリス単独公演レポ&現地ファンインタビューで迫る熱狂

f5veはなぜUKで人気?現地レポ&ファン取材

 ところで、本公演では開演約2時間ほど前、VIPチケットの購入者を対象として、メンバーも登場しての公開サウンドチェックが実施されていた。それにあわせて筆者は「f5veはなぜ、突如としてロンドンでこれほど人気になったのか?」といった理由を探るべく、会場内で待機中だった来場者8名(2名×4組)にインタビューを行った。全組とも、取材に笑顔で快諾していただき、本当に感謝するばかりである。

 さて、筆者の見立てで可能な限り、ルーツの異なる対象者を選んだつもりだったのだが、さすがはイギリス。会場のあるロンドンはもちろん、アクリントン、ランカスター(ともに北西部)、ニューカッスル(北東部)、バーミンガム(中部)、ケント(南東部)と、全員がイギリス、それもイングランドに居住するファンたちであった。年齢としては、25〜29歳がほとんどで、全員がもれなく20代。一部、多少の勉強をしていた者もいたが、日本語話者はおらず。f5veの歌詞も意味ではなく音で覚えるなど、我々が英語や諸外国の言語に触れるのと同程度の感覚に近いという。

 そんな彼らがf5veを知ったきっかけは、8名中6名がInstagram、TikTokなどのSNS、あるいは動画プラットフォームであるYouTubeでのレコメンドによるもの。特に後者では、同じくLDH所属のPSYCHIC FEVERの映像を視聴していたところ、関連動画としてf5veのMVを発見したという。

 これは今回のライブを通して感じられたところなのだが、f5veには決してアニメなどに代表される、概念的な“クールジャパン”が求められる感覚が微塵もないし、そうした言葉はこの8名の誰からも出てこなかった。一方、それとは矛盾するようだが、f5veの人気の下地として、J-POPやK-POPへの馴染み深さを感じたのも事実。先ほどのPSYCHIC FEVERの件は、その代表例といえるだろう。ちなみに残り2名は、前述のA. G. Cook、PC Musicら、音楽プロデューサー経由で存在を知り、一気にハマったという話もあったので付け加えておきたい。

f5ve(撮影=Sam Castaneto)

 ちなみに、f5veに最初に触れた楽曲は、3名が「Underground」(2024年7月リリース)で、2名が「Lettuce」(2024年5月)。残りは「Magic Clock」(2025年3月)、「Sugar Free Venom feat. Kesha」(2025年5月)「I Choose You」(2025年11月)、と散らばっていた。なお、回答に際して何年何月か、までか探っておらず、あくまでリリースと同年のうちに楽曲に触れていた、という部分までの確認となっているため、あしからず。

 楽曲面では、f5veの作品のなにが特別なのかも尋ねてみた。前述の通り、会場の空気感、あるいは身につけたグッズの類などから、J-POPやK-POPの文化が下地にあることを感じつつ、ガーリーで、アップビートで、予想外な展開がある自由な作風であるところが現地にて評価されているという。特に映像面で、イギリス国内のアーティストにはない色使い、キャラクターが新鮮で、しっかりとした美学が感じられるとのコメントもあった。加えて、彼女たちのSNSが本当に魅力的だ、との声もあったことも書き記しておく。

 ここからが本題。はたして、f5veはロンドンで本当に人気なのか? これには8名中8名が即答。迷うことなく「人気だ」と同意した。なかには「definitely(絶対に)」と、強調までしてくれた者すらいたほどである。

 また、f5veがどんなリスナーに人気なのか、という質問に回答が共通していたのも面白い。正直、この質問にだけ、ほかと比べて一瞬だけ、回答者の間が空く瞬間があった。これについては、会場を見渡してから答えていたため、単純に質問が難しかったのだと思われる。結果的に音楽面でダンスミュージックを愛聴する層との回答もあったなか、半数がLGBTQ+ / queerと答えたのである。

 実際の回答を引用すると、「I think a lot of queer people love them because they've spoken about it and like how they're in support of it. So I think queer people feel safe.(=多くのクィアの人たちが彼女たちを好きなのは、彼女たちがクィア/LGBTQ+について発言してきて、それを支持する姿勢を示しているからだと思います。だから、クィアの人たちは安心できるんだと思います)」とのこと。こうした人々への支援がユニットの推進力になったことを想像しつつ、とはいえ今回の対象者のあくまで一意見として、本稿では受け取ってもらえれば幸いだ。

 ここまでを踏まえると、J-POPやK-POPの文化が下地にあること、クィア/LGBTQ+方面への接続、楽曲自体の踊りやすさなど、さまざまな人気要因があることが伺える。そして、あくまで今回の8名のみではあるものの、楽曲に触れたタイミングを見るに、f5veの人気は突如として起こり得たものではないようにも思う。むしろ、2025年の段階でじわじわと広がり、ロンドンではもう昨年の段階で、彼女たちを受け入れる体制が少しずつ整っていたのではないだろうか。

 そんなf5veは10月初旬、ブリスベン、メルボルン、シドニーの3都市を巡るオーストラリアツアー『f5ve + the deep: f4n m33t australia』も開催予定。今度は南半球まで飛び立って、画面の向こう側にあった“夢”を“現実”のものへと変えてみせてくれる。

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