韓国インディーシーンから世界へ 坂本龍一が早くから注目した才能――SE SO NEONが今求められる理由
K-POPが世界の音楽市場で存在感を増すなか、韓国ではインディーシーンへの注目が熱く、個性的なアーティストが次々と登場している。そのなかでも、韓国インディーシーンから頭角を現し、国内外へと活動の幅を広げてきたのがSE SO NEON(セソニョン)だ。
2016年にソウルで結成され、メンバーチェンジを重ねながら活動を続け、現在はボーカル/ギターのファン・ソユンによるソロプロジェクトとなっている。坂本龍一が早くからソユンの才能に注目していたほか、So!YoON!名義ではRM(BTS)とのコラボレーションも実現するなど、その音楽はシーンの枠を越えてさまざまなアーティストから支持を集めてきた。そんなSE SO NEONが、10月30日にビルボードライブ東京で単独公演を開催するのだ。
SE SO NEONが韓国の音楽シーンで頭角を現したのは、活動開始から間もない2017年のこと。同年6月に楽曲「A Long Dream」でデビューを果たし、同年10月には1st EP『Summer Plumage』をリリース。「A Long Dream」で最も印象に残るのは、淡い浮遊感をまとったサウンドと、そのなかに溶け込むようなソユンの歌声だ。低くハスキーな声には気怠さがありながら、ふとした瞬間には少年のようなあどけなさも顔を覗かせる。一方、EP『Summer Plumage』に収録された「The Wave」では一転、歪んだギターと荒々しいドラムがうねるように絡み合い、後半に進むほど演奏の熱量を増していく。ブルースロックやサイケデリックロックなど、さまざまな音楽から受けた影響を感じさせながら、それを懐古趣味には終わらせない。この時点ですでにSE SO NEONオリジナルの音が作られていた。
そうした個性は、先述のとおり早い段階から高く評価された。2018年の『韓国大衆音楽賞』では「今年の新人」、そして楽曲「The Wave」が「最優秀ロック・ソング」を受賞。同賞の選考評でも、モダンロックやブルース、ポップ、サイケデリックなどを横断する音楽性やクラシックロックの要素を現代的に鳴らす感覚が評価された。なかでも興味深いのは、ひとつの方向へ自分たちを規定しないこと、それ自体が彼らの強みとしてとらえられていたことだ。
その魅力がさらに鮮明になったのが、2020年の2nd EP『Nonadaptation』だ。オープニングトラック「Midnight Train」のソウルやR&Bにも通じる滑らかなグルーヴ、「Winter」のどこか気怠く幻想的な空気感など、ロックバンドという言葉だけでは括れない楽曲が並ぶ。『Pitchfork』が同作を「The 35 Best Rock Albums of 2020」に選出したことからも、その評価が韓国国内にとどまらなかったことがわかる(※1)。