Mrs. GREEN APPLE、Vaundy、Suchmos、TOMOO、MAZZEL × STARGLOW、NiziU……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、Mrs. GREEN APPLE「共犯」、Vaundy「Destiny Journeys」、Suchmos「Smile」、TOMOO「バースデイ」、MAZZEL × STARGLOW「Nameless MythS」、NiziU「Sour Grapes」の6作品をピックアップした。(編集部)
Mrs. GREEN APPLE「共犯」
ニューアルバム『POPS』収録曲のひとつ。堂々たるタイトルに恥じないポップス集だが、こちらはシンプルなバンド編成で駆け抜けていた初期に通ずるナンバーである。〈道なりに/未知なりに〉〈もうデスティニーです既に〉などユニークな語呂合わせもあり、アッパーなコーラスと相まって、ライブではいわゆるアゲ曲になりそう。ただ、美しいのに脆い社会、愛おしいはずなのに憎み合ってしまう人間を「共犯」関係に喩える歌詞はわりとシリアスで、〈未来に全部ベット出来る理想が湧かない〉と歌う箇所は、大森元貴(Vo/Gt)の、いや、この時代の生々しい叫びとも言えそうだ。豪華絢爛なエンタメ街道を邁進していた近年のイメージが少しだけ変わる。(石井)
Vaundy「Destiny Journeys」
高らかに鳴らされるホーンセクション、高揚感を煽るギターサウンドを軸にした新曲「Destiny Journeys」は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの25周年テーマソングとして制作された。抑制の効いた平歌と爆発的なダイナミズムを備えたサビのコントラスト、“楽曲全体がファンファーレ”と形容したくなるサウンドメイク、そして、聴く者の本能を吹き飛ばすようなパワーを放つボーカル。今年4大都市ドームツアーを開催したVaundyだが、圧倒的な成功に満足することなく、自らのスケール感をどこまでも拡大し続けようとする姿勢が、この曲にははっきりと表れていると思う。〈oh!僕ら疾うに未来の扉/輝く時を待ってる/みたいだ〉というラインを、彼自身の「まだまだこんなもんじゃない」という思いと重ねたくなるのは、きっと筆者だけではないだろう。(森)
TOMOO「バースデイ」
11月に開催される自身初のアリーナ公演(ぴあアリーナMM/大阪城ホール)を前にリリースされた新曲「バースデイ」は、タイトル通り、“新たな生命のはじまり”を強く感じさせる楽曲だ。ミニマムなビートとピアノで静かにはじまり、徐々に躍動感を増していくメロディに引っ張られながらスケール感を上げていく。心と身体が一気に解放されるようなサビの中で描かれるのは〈恥の多い人生を/あなたと泳いでみたいの〉という歌詞。この先のことはわからないし、怖さや不安もある。だけど失敗を恐れることなく、“生”そのものを全うしたい——。そんな瑞々しい覚悟がダイレクトに伝わってくるのだ。シンガーソングライターとしての本質と新たなサウンドスケープを両立させた「バースデイ」は、彼女のキャリアをさらに飛躍させることになるだろう。(森)
Suchmos「Smile」
8年ぶりのアリーナツアーが決定したSuchmosから届いた最新曲。ものすごくかっこいいグルーヴ、ムード、バイブスが漂うジャズ風味のファンクだが、具体的に何かをかいつまんで語るのが非常に難しい。たとえば歌詞はアンニュイな散文に過ぎず、サビにあたる繰り返しもメロだけなら淡白すぎる印象になる。しかしギター、鍵盤、DJやドラムが絡み合うことで、曲全体には鋭い緊張感と気怠い甘さがもたらされる。中心にあるのは山本連のベースライン。そこに誰がどんな音を重ね、同時に何を差し引いていくのか。全員の美的感覚こそがモノをいう世界は、まさにバンド表現の骨頂だ。これぞSuchmosと唸るばかりのセンスが今また更新されている。(石井)
MAZZEL × STARGLOW「Nameless MythS」
「Nameless MythS」、直訳すれば“名前のない神話”。このタイトルを目にした瞬間“名前がない”と“神話”って矛盾してない? と思いそうになるが、MAZZEL、STARGLOWがたどってきた道のりを振り返れば、そこに確かな説得力が立ち上がってくる。この2つのグループには、望むような結果をなかなか得られず、試行錯誤を繰り返してきたメンバーも多い。ただひとりで何者でもない状態に耐えながら、ひたすらトライを続ける。その先でたどり着いたのがMAZZELであり、STARGLOWだったのだ。正解を周囲に委ねることなく、信じた道を突き進むことの大切さ。そして、どこかにあるはずの未来という名の光。「Nameless MythS」には、そんなストーリーがしっかりと刻み込まれている。透明感と壮大さを共存させたトラック、個々の経験に裏打ちされたボーカル/ラップも素晴らしい。(森)
NiziU「Sour Grapes」
これまで韓国で2枚のシングルアルバムを出してきたNiziU、1年半ぶりの韓国カムバックとなる韓国1stミニアルバム『Sour Grapes』のタイトル曲。英語と韓国語で構成される歌はもちろん、随所に入ってくるノイズや咀嚼音がかなり新鮮。ビートとベースラインの中毒性で引っ張るダンスミュージックでありつつ、聴き進めていけばNiziUらしいキュートなメロディが花開くポップスになる。MVは全編台北撮影。スナイパーに扮したメンバーの姿や揃いのダンスシーンはもちろんクールなのだが、同時に、屋台のおっちゃんや大量のキツネ(『Sour Grapes』=イソップ寓話『狐と葡萄』がモチーフ)なども登場。全体にユーモアを散りばめた内容に仕上がっている。(石井)