Kroi「売れた先に行けるところがある」 『JUNGLE』ファイナル、飽くなき探究心と野望が示した新たなフェーズ

“面白さ”と“売れる”を両方取りに行くKroiの新章
ステージとオーディエンス、それぞれの内なる蠢きと熱量がごちゃ混ぜになる快感こそが、Kroiのライブの楽しさ。1曲をねっとり深めていくのに、「なぜこんなにあっという間にセットが進んでいくんだろう?」といつも不思議な気持ちになる。
あっという間に15曲を演奏した後、内田は上機嫌で「ワンマンと対バンの日のライブの後のアーティストとしての体感が違うことを、今日、さらに感じてます」と話す。おそらく、対バンとワンマンの両方を巡った今回のツアーを経て、自分たちの進み方をより鮮明に自覚したということなのだろう。

「やっぱりKroiはずっと面白いことをしていきたいと思います。面白いこともしたいし、売れもしたいんです。新しい風を吹かせたい。売れた先に行けるところがあると思うから」と、これまでもずっと抱いてきたであろう野望を、内田はこれ以上ないほど明快な言葉で伝えてきたのだ。「売れたい」という言葉を誰も笑ったりしない。賛同の声しか上がらない。ああ、今日のライブのすごさはこの意思に裏打ちされてるんだなと、納得してしまった。
メンバーの短いソロも盛り込んだ「Page」のアウトロジャムから、TVアニメ『LIAR GAME』OP主題歌でもある「All in」へ。ジャングルの環境音のようなSEから始まり、ベースを持ち替えた関将典(Ba)が重くてノイジーなサウンドで演奏を牽引する。新しいライブサウンドにビビッドに反応するフロアが、お馴染みの「Balmy Life」のイントロで乾いた大きなクラップを放つ頃には、もうKroiの新章を祝うようなムードが横溢していた。千葉のトークボックスも曲の後半でもうひと盛り上がりを作る構成へと進化している。
明るさを増していく照明の効果も抜群だった「明滅」を経て、本編ラストを飾る頻度の高いインディーズ時代のナンバー「Shincha」のイントロが流れる。そこで内田は、曲が演奏を重ねることで起こる成長には嬉しさも寂しさもあると話しながら、「後ろを振り返らずにいい感じに葛藤していきます」と、先ほどに続いて宣言。この日の彼は、特にボーカリストとして、その場で生まれた感情を素直に解き放っていたように思う。真似事ではないソウルネスを発揮するその歌にも、バンドの次なるフェーズが確実に見えたのだ。冒頭同様、アフロビートのジャムセッションで本編の幕を閉じた空間は、歓喜に溢れていた。

波のようなアンコールの拍手が続く中、突然降りてきた白幕に騒然とする場内。まず来年のライブハウスツアーが告知され、歓声が起こる。その後、さらにもうひとつの告知があるとわかり、馬の胴体から始まる映像が映し出された瞬間、会場には悲鳴にも似た歓声が上がった。すでに告知されているが、この場でアニメ『スティール・ボール・ラン ジョジョの奇妙な冒険』のオープニングテーマとして、Kroiが新曲「SPIN」を書き下ろしたことが発表されたのだ。
幕が落とされ、ライブ初披露となった「SPIN」。初見の楽曲にもかかわらず、いい意味でキャッチーな展開に、フロアは大きなリアクションを生み出していた。メンバーの中でも特に『ジョジョ』シリーズの大ファンである長谷部の興奮ぶりは、プレイでもMCでも溢れ出していた。
先ほど内田が語った「売れた先に見えるもの」はこの発表の伏線だったのかもしれない。沸き立つフロアを「Juden」のパーカッシヴな演奏でさらに押し上げ、最後は再びアフロやサルサのセッションへ。いつまでもグルーヴが体内に残るようなツアーファイナルは、こうして幕を閉じたのだった。
なお「SPIN」は9月24日の配信開始からわずか2日で、Spotifyにおける100万再生を突破。そして、公式SNSでも「国内外のストリーミングサービスで累計500万再生を突破」と発表されている。Kroiの音楽は今、これまで以上の速度で国内外へ広がり始めている。
■セットリスト
『Kroi Live Tour 2026 “JUNGLE”』
9月23日@Zepp Haneda (TOKYO)
M01. Amber
M02. Papaya
M03. Fire Brain
M04. おなじだと
M05. Kinetic
M06. HORN
M07. a force
M08. Clay
M09. 侵攻
M10. Correction
M11. Psychokinesis
M12. Finch
M13. Polyester
M14. Pixie
M15. risk
M16. Page
M17. All in
M18. Balmy Life
M19. 明滅
M20. Shincha
<アンコール>
M21. SPIN
M22. Juden
























