Nape、初のワンマン『THE GREATEST ESCAPE』で提示したバンドの真価 変化と覚悟を鳴らした圧巻の90分
WATARU(Vo)、ISSEI(Gt)からなる2人組ロックバンド・Napeの1stワンマンライブ『THE GREATEST ESCAPE』が、9月12日に東京・下北沢BASEMENTBARで開催された。大城怜央(Ba)、ミズグチハルキ(Dr)をサポートに迎えた4ピース体制で、バンド史上最長となる約90分のステージを完遂。会場へ詰めかけた熱心なオーディエンスとともに、アグレッシブかつアットホームなライブ空間を創出した。
厳しい残暑が続く中、週末の下北沢は比較的過ごしやすい気候の曇天に恵まれた。フロアでドリンクを片手に開演を待ちわびる観客の装いも、心なしか秋めいたムードを醸し出している。定刻を少し過ぎた頃、暗転したステージからアブストラクトなSEが響きわたり、ややあってISSEI、大城、ミズグチがステージ背面の暗幕から姿を現して持ち場にスタンバイ。最後にWATARUが舞台中央へ颯爽と飛び出ると、「Napeワンマンショー始めます! みんな楽しんでいきましょう!」の呼びかけを契機に、ブルージーなシャッフルナンバー「DENGEKI」で勢いよくライブの火蓋を切った。
バンドは続けざまにファンキーなダンスロックチューン「FUGITIVE」、四つ打ちビートがうなりを上げるシンセポップテイストの新未発表曲「save yourself」と、ダンサブルなレパートリーを畳みかけてフロアを心地よく波打たせていく。
今年4月にドラムボーカルから専任ボーカリストへとジョブチェンジを果たしたWATARUは、水を得た魚のように自由に体を揺らし、客席の一人ひとりと目を合わせながら、全身のエネルギーを歌表現に一極集中させる。かたやISSEIはこれまでNapeのサウンドを支えてきたSG、から、主にGibson ES-335およびストラトキャスターをプレイ。新たなスタイルを見せる。そんなふたりの姿はまるで、キャッチーな記号になり得る要素をあえて排し、“よくあるバンド”のフォーミュラに意図的に寄せることで、逆に彼らにしかないものを浮き彫りにしようとしているかのよう。すなわち、「ドラムボーカルとSGギタリストの2人組」というわかりやすいキャラクター性に頼ることなく、音楽そのものの力だけで直球勝負をかける茨の道を彼らは選んだということだ。そうしたストイックな姿勢はバンド編成のみならず、セットリストにも反映された。ライブ中盤では未リリース楽曲「OMOIWA」、「BANG BANG BLUES」が次々に惜しみなく披露され、「聴衆に知られていない楽曲であっても十分に楽しませることができる」という揺るぎない自信とプライドをのぞかせる。
MCでは、『THE GREATEST ESCAPE』と銘打たれたライブタイトルについて、WATARUが改めて解説。「他者との関わりがつらくなること、あるじゃないですか。そういうときに俺はずっと音楽に逃げてきた。つらいときにはずっといろんな音楽を聴いて……ヘッドホンでエミネムとかを聴いてたんだけど。そうやって、自分というものを取り戻してきた。それが原体験になっていて、俺はそれを鳴らす側になりたいとずっと思っていたら、こうやってワンマンライブを開催できる運びになって。それをあったかいみんなに観てもらえて、本当にハートウォーミングな感じになっています」と述べ、温かな拍手を浴びた。
ライブ中盤以降は、前半戦とは打って変わって「Sentiments」「通常lost summer」「OIKAZE」などの既発曲を固め打ち。オルタナティブかつエクスペリメンタルな楽曲からメロディアス&キャッチーなポップナンバーまでを幅広く取りそろえる彼らならではの、ライブ全体が組曲になっているかのような変幻自在のステージで聴衆を魅了し続けた。そしてラストには、仕上げとばかりにキラーチューン「THE MONSTER」「SUPERMAN」を連投。スリリングかつアグレッシブな空気をフロア中にくまなくまき散らし、4人はステージをあとにした。
アンコールでは、まずISSEIから客席へ挨拶が届けられた。「ワンマンライブに“1st”ってつくのは、今日が最初で最後。すごく大事なワンマンライブを観に来てくれて、本当にありがとうございます」と控えめな笑顔で語りかける。すると、少し遅れてステージに再登場したWATARUがおもむろに2本のスティックを携えてドラムセットに着席。フロアが色めき立つ中、バンドの原点であるドラムボーカルスタイルでパンキッシュなリフナンバー「Rescue Baby!」が披露される。ISSEIもこの日初めてSGを抱え、硬質な3ピースサウンドでフロアを沸き立たせた。
WATARUは上気したような表情で「今日は初めてのワンマンライブ。俺らも超気合い入ってるんだけど、みんなの気合いもすごくて。気合いと気合いのぶつかり合いをここでできて、本当によかったです」と興奮気味に胸中を語る。そして「俺は意図的に音楽に逃げて没頭してきたけど、最終的には音楽じゃなくてもなんでもいい。流れるままに、行き着くところに行き着こうと俺は悟った。ISSEIも悟った。そういう曲を最後に聴いてください」と前置きしてから、再びミズグチを加えた4ピース体制でオルタナティブテイストのフォーキーなパワーバラード「LAMBDA」を切々とプレイ。充実の初ワンマンを威風堂々と締めくくった。
■セットリスト
Nape『THE GREATEST ESCAPE』
2026年9月12日@東京・下北沢BASEMENTBAR
M01.DENGEKI
M02.FUGITIVE
M03.save yourself(未発表曲)
M04.self-made
M05.DARK THOUGHTS(未発表曲)
M06.OMOIWA(未発表曲)
M07.BANG BANG BLUES(未発表曲)
M08.Sentiments
M09.RAISE
M10.通常lost summer
M11.OIKAZE
M12.THE MONSTER
M13.SUPERMAN
<アンコール>
M14.Rescue Baby!
M15.LAMBDA
■リリース情報
デジタルシングル「通常lost summer」
2026年9月9日(水)リリース
配信リンク:https://orcd.co/tsujou-lostsummer
■ライブ情報
『Presented by Nape “KISUI”』
公演日:2027年2月5日(金)
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
会場:TOKIO TOKYO(東京・渋谷)
出演:Nape, and more
料金:一般 ¥3,500(税込) / 学生 ¥2,000(税込)
※オールスタンディング/ドリンク代別途必要
チケット発売:2026年9月26日(土)10:00〜
https://livepocket.jp/e/r_v92
海水と淡水が交わる「汽水域」のように、
2つのバンド、それぞれの音楽が交わる一夜。
異なる個性が交わることで生まれる、新しい音楽の景色。
その間に生まれるものを、楽しんでほしい。
Presented by Nape “KISUI”at TOKIO TOKYO
詳細はこちら:https://kisui.thisisnape.com/
■関連リンク
HP:https://nape.bitfan.id
YouTube:https://youtube.com/@thisisnape
Instagram:https://www.instagram.com/thisisnape/
X:https://x.com/thisisnape_
TikTok:https://www.tiktok.com/@thisisnape_