「日本の音楽が世界を代表する日は必ず来る」 YOSHIKIを突き動かす30年の挑戦と原動力

 YOSHIKIが、世界的ボーカリストであるジョシュ・グローバンをフィーチャリングしたライブ音源「Forever Love(Live)」をリリースした。X JAPANの名曲「Forever Love」を大胆にアレンジした本作は、いかにして生まれたのか。ロサンゼルスへ拠点を移してから30年以上にわたりグローバルな挑戦を続けてきたYOSHIKIに、アメリカでの音楽活動の舞台裏、常に第一線で活躍し続けるうえでの原動力を聞いた。(編集部)

海外公演で披露した「Forever Love」に集まった賞賛

YOSHIKI、ジョシュ・グローバン

ーー新曲「 Forever Love(Live)」でフィーチャリングした歌手のジョシュ・グローバンさんは長年のお友達だと伺いました。

YOSHIKI:そうですね。ちょうど10年前にドキュメンタリー映画『WE ARE X』が、世界中で公開されまして、アメリカの「サンダンス映画祭」でワールドシネマドキュメンタリー部門・最優秀編集賞をいただきました。

 それもあって、色々なイベントに参加していたときにBackstreet BoysのメンバーやKISSのジーン・シモンズなど、さまざまな方々が会いに来てくれたんです。その流れでジョシュとも初めて会いまして。それ以来、同じロサンゼルスに住んでることもあり、僕のスタジオに何度も遊びに来てくれるようになりました。

――リリースされた音源は、7月にウォルト・ディズニー・コンサートホールで開催された2日間の公演のうち2夜目「YOSHIKI CLASSICAL 2026 IN LOS ANGELES AT WALT DISNEY CONCERT HALL “VIOLET NIGHT”」で録音されたライブ版ですね。

YOSHIKI:はい。自分のライブでは、たまにゲストを呼んでいるんですよ。ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール公演ではセイント・ヴィンセントさんやエリー・ゴールディングさんにも出演いただきました。

 今回はロサンゼルスということで、ゆかりの深いアーティストに出てほしいなと考えていたんです。そこで最初に浮かんだのがジョシュでした。そしてジャンルは少し違いますけど、KORNのジョナサン・デイヴィス、あとは仲のいいJane's Addictionのペリー・ファレルにも参加していただいて。

――当初はリリースする予定はなく、ライブ楽曲のひとつとしてアレンジしたということですか。

YOSHIKI:その通りです。ジョシュが出てくれたのは2日目のステージだったんですけど、会場がロサンゼルス、ハリウッドということもあって、映画関係者や音楽関係者がたくさん来ていて業界からの反応がとにかくすごかった。「これは新曲なのか?」とか「ディズニーの楽曲として書いた曲なのか?」とか、色々なことを聞かれました(笑)。

 もちろんX JAPANのことを知らない人もたくさん来ていたので、「いやいや、これは30年前にX JAPANとしてリリースした曲をアレンジしたものだよ」と説明したんです。すると「これをリリースしないという手はない」と大勢の関係者から言われましたね。

――それはとてもドラマティックな話……。

YOSHIKI:それで「あ、そうなのか」と気付いたんです。だったらLAにいるうちに準備をした方がいいと思って、コンサートが終わってすぐにミックスに取り掛かりました。

――日本だと「Forever Love」は、バラードの名曲として知られていると思うんです。でもやっぱり初めて聴いた方々も、楽曲の持つパワーを感じたということなんですね。

YOSHIKI:ちなみに、X JAPANの曲でいうと「Forever Love」よりも「ENDLESS RAIN」のほうが海外でも聴かれていて、アジア、特に韓国では有名なようです。

―—今回の「Forever Love(Live)」のアレンジは原曲のキー(B♭)から大胆に完全5度下(E♭)になっていますね。

YOSHIKI:700セントも下に転調させますから、本当に違う音域で歌ってるんですよ。例えば半音下げたり上げたりするのは、よくある話だと思うんですけど。それによってピアノやストリングスを含めた全体、特に中音域に厚みが出たなと思います。

 (オリジナルを歌う)ToshIは女声ボーカルの音域のちょっと下ぐらいの感じなんですけど、E♭付近は男声ボーカルの音域です。だから今回は男声ボーカルの領域でもあり、オペラティックでもあるという。同じ曲なんですけど、自分でも新しく感じるんですよ。X JAPANの「Forever Love」を知っている海外の方にも同じことを言われました。

ロサンゼルス拠点から30年、アメリカでの挑戦と日本音楽の可能性

――YOSHIKIさんは1992年からロサンゼルスに拠点を置いています。実際に住んでみて、アメリカの音楽シーンとエンターテインメントに対する印象の変化はありましたか。

YOSHIKI:まず海外で「ドラムとピアノをやっています」と自己紹介すると、「どうしてドラムとピアノの演奏で、そんなに有名なんですか?」と聞かれるんです。日本では「YOSHIKI」として知っていただいている方が多いと思いますが、海外ではドラマーとピアノというポジションで有名人は少ない。というか、ほぼいないらしくて。そのギャップがまずひとつですね。

 あとヨーロッパも月1回くらいのペースで行くのですが、例えばパリやミラノにはファッション界のトップが集まってくるし、ロンドンにはハリウッドと同じくらい音楽や映画関係者のトップが集まってきます。そういう人たちに接すると、本当に並大抵の努力と才能では勝てないと毎日実感しています。

 そこでなぜ自分が戦えているのか……そこには純粋な努力はもちろん、自分の才能を信じることが大事。正直、最初は「勝てないな」と思ったら、帰国しようと考えていたんですけど、「勝てなくはないな」と感じて、結局30年以上いることになりました(笑)。

 ここまで、曲がりくねった道をすごくゆっくりと歩んできたと思います。そんななかで、なんとなく浸透してきているのかな、長い時間をかけて努力が実ってきているのかなと最近やっと実感し始めているところです。

――アニメソングは以前から海外でも人気がありましたが、シティポップの世界的リバイバル以降、日本の音楽が世界で広い人気を獲得しつつあります。日本の音楽が今後さらにグローバルに展開していく可能性や課題については、どのようにお考えですか?

YOSHIKI:まず結論から言うと、すごく可能性を感じています。K-POPが世界を席巻したのも素晴らしいですが、日本の音楽には多様性がある。いい意味で東洋と西洋が入り混じりつつ、両方の文化のなかで日本独自のカルチャーがあるというのは、海外から見ると不思議な音楽シーンであり、それが強みになる時代が絶対に来ると僕は考えているんです。

 ただ逆に多様性がありすぎるために「わかりづらい」という側面もある。アニメ音楽になると、なんとなく共通した曲の展開やコード進行があるので、わかりやすく伝わると思うんですけど。もちろん、アニメを介さずに伝わるアーティストも本当にたくさんいると思います。これからはよりJ-POP、できればJ-ROCKにも頑張ってほしい。日本の音楽が世界を代表する日は必ず来るはずですよ。自分がその突破口を開けるかどうかはわかりませんが、「少しでも起爆剤になれればな」と考えています。

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