稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾とゆず、SMAP時代から続く偶然を超えた物語 いつまでも“青春”を謳歌する5人の絆
香取慎吾主演映画『高校生家族』の主題歌を、ゆずが歌う。そんな一報に、心が弾んだ。この胸の高鳴りの理由は、どこかで「やっぱり来てくれた」という期待があったからかもしれない。香取の新しい挑戦には、ゆずの歌声がよく似合う。
映画は、長男・光太郎(齋藤潤)の高校入学のタイミングで、香取扮する父・一郎、母・静香(仲里依紗)、妹・春香(永尾柚乃)、飼い猫のゴメスまでもが高校生になるという物語。とりわけ、自身も早くからアイドルとして活躍してきたため、一般的な高校生活を送ることが難しかった香取にとって、「ずっと高校生に憧れてた。父さん中卒でな。」(※1)というセリフが印象深く響く。そんなリアルとフィクションが交差する青春きらめく家族愛ムービーだ。
映画の物語を受けて、ゆずが「どんなときでも、いつからでも、ちょっと角度を変えれば青春は始められる」(※2)という熱い思いを込めたのが、書き下ろしの新曲「これも青春だ」。この歌が流れる『高校生家族』の予告映像を観ていると、映画を盛り上げるだけでなく、「涙涙の高校生役をゲットした」と喜ぶ香取自身の歩み、さらには香取とともに新しい地図を広げてきた稲垣吾郎、草彅剛との3人が紡ぐストーリーにも重なって見えた。
ゆずと3人の関係は、SMAP時代に遡る。『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の歌コーナーを筆頭に、さまざまな歌番組でも共演してきた2組。当時、『SMAP×SMAP』のトークコーナーでは、「珍しいんですよ、SMAPがしゃべるの」という話題が注目を集めた。国民的アイドルグループとして親しまれながらも、どこか人見知りな一面を感じさせることも少なくなかったSMAP。だが、ゆずとの会話からは、SMAPのメンバーがそろって肩の力を抜いているような、どこか親密な空気が感じられる。アーティストを迎えた場面としては、珍しい光景だった。
そんな存在になったのは、もしかしたら、ゆずの北川悠仁と岩沢厚治が、SMAPの末っ子だった香取と同学年であることが大きかったのかもしれない。3人とも神奈川県横浜市出身。北川と岩沢が小学校高学年のころに、SMAPが出演した体育大会へ駆けつけたというエピソードも語られたことがある。その後、路上ライブを通じてメジャーデビューを果たしたゆず。SMAPと同じステージに立つまでになったふたりを、クラスメイトや弟の同級生にも喩えられるような近い感覚で、親しみを持って見ていたのかもしれない。
そんな縁を振り返るように、2013年の『2013 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)では、香取がゆずと楽曲「桜木町」を歌唱したこともあった。また、2017年に稲垣、草彅、香取が新しい地図を広げると、翌年4月1日、『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)の初回にゆずがゲストとして駆けつけ、横浜でゲリラライブを行った。原点とも呼べる風景。同じ時代を駆け抜けてきた感触。そして、まっさらなスタートを切る仲間へのエール。3人の転換期にゆずが駆けつけたあの場面は、すでに年齢を問わない“青春”を体現していた。
この日の選曲について、北川は新番組の初回を楽しく飾るために、まず「夏色」を選曲したと語る。路上ライブというシチュエーションをよく知っている北川ならではの、多くの人の足を止めるために必要な歌だと考えたのだろう。そして「いつか」は、その前年に生放送された『72時間ホンネテレビ』(ABEMA)で、草彅が歌い、スタッフにこの楽曲のよさを伝えていたことから選ばれた曲。その声が、ゆずのもとにも届いたという。
さらに、3人がタンバリンを持って踊った「タッタ」については、どちらのファンも関係なくみんなで踊れたらという願いを込めた1曲だった。2024年、稲垣がパーソナリティを務めるラジオ『THE TRAD』(TOKYO FM)にゆずがゲスト出演した際には、ゆず側が3人へ「踊っていいですか?」と急遽リハーサル中に提案したものだったのだと明かされた。「すみません、突然に」とあらためて謝るゆずだったが、もしかしたら、少年のころにSMAPを生で見た際の、観客としての感覚がそこにはあったのかもしれない。「歌って踊る彼らが見たい」――きっとゲリラライブに、そしてテレビの前に集まった多くの人が、そう願うのではないか、と。
ゆずがその始まりにエールを送ってから、来年で10周年を迎える。そして、ゆず自身も2027年にはデビュー30周年という大きな節目が待っている。両者とも長いあいだ、それぞれの表現を通して人々に笑顔を届けてきた。ときには仲間を奮い立たせ、その姿に、自分自身もまた刺激を受けることもあった。そんな両者が送ってきた日々を、「これも青春だ」と言わずにはいられない。
「何歳からでも青春を始められる」と歌うこの新曲について、「デビュー30周年を迎える今だからこそ歌える」とコメントを寄せたのも納得だ。青春とは、まだ何者でもない若者が夢を追いかける瞬間だけを指すのではない。大人になってからも自らが望む場所に立とうともがくこと。大切な仲間の新たな出発に駆けつけること。自分にできる形でその背中を押し、相手の姿から、もう一度前へ進む力をもらうこと。それもまた、確かに青春なのだ。
2018年春、横浜で、新しい一歩を踏み出した3人のそばにゆずがいた。あの日、稲垣と草彅と香取と北川と岩沢の5人で歌った「いつか」が伝えていた、挫けそうになっても大切な人を思い、歌い続けるという決意がリフレインする。あれから約9年。3人が新しい地図を広げてから10周年、ゆずが30周年へと向かう年に、香取の主演映画へ贈られた歌が「これも青春だ」であることに、偶然を超えた物語を感じずにはいられない。
あの日の「いつか」は、ときを重ねて「これも青春だ」へ。何歳になっても新しい一歩を踏み出す限り、青春は過去形にならない。ゆずと新しい地図、そして彼らを見守る私たちの物語には、この先もまだ見たことのない青春が書き込まれていくのだ。
※1:https://www.kokosei-kazoku-movie.jp/
※2:https://realsound.jp/2026/09/post-2510737.html