なぜ“今こそ”爆風スランプなのか? 「すごく事件性があると思います」――35年ぶり日本武道館帰還までの道のり

「大きな玉ねぎの下で」初のバージョン、現代にこそ必要な「Brave Love, TIGA」

パッパラー河合(Gt)

――ほかのリメイク曲も、伺いたいんですが。まず「大きな玉ねぎの下で」。これは当然リメイクしますよね、武道館が決まったら。

末吉:でも、この曲っていろんなアレンジがあって。オーケストラバージョンとかあるんだけど、ピアノも入れない、全部ギターでやってるバージョンは初なんですよ。

――去年、映画になりましたよね。

中野くん:そうなんです。

――あの映画はいかがでした?

中野くん:試写に呼んでいただいて、河合とふたりで観て、もうめっちゃ泣きましたよ。終わってふたりでロビーに出たら、スタッフの人が「どうでしたか?」って聞きにきてくださって、それで「もう本当に最高でした、ありがとうございました」と言おうと思ったんですけど、言おうとした瞬間に、もう嗚咽が止まらなくて。何か言おうとすると泣き声になるから、ふたりとも何も言えずに、スタッフの方たちを、立ち往生させました。

河合:スタッフが10人以上いて、みんなもうドン引きさせちゃった(笑)。

末吉:あの映画、よかったよね。草野(翔吾)監督は、ものすごく爆風スランプを愛してると思う。昔のロゴとか武道館の再現とか、(細かな演出に)ものすごい愛を感じた。

中野くん:音楽は大友良英さんで、脚本は高橋泉さん。すごい人ばかりで。俳優さんたちも、みんな素晴らしくて。うれしかったです。

――で、次は「Brave Love, TIGA」ですが。

和佐田:これは、みなさんに「入れよう」と言っていただいたので、喜んで。

中野くん:和佐田さんが作曲なんですよ。

和佐田:『ウルトラマンティガ』の曲なので。我々が演奏してるんですけど――。

末吉:爆風スランプ名義じゃないんですよ。

――ですよね。「地球防衛団」という名義で、岸谷五朗さんたち大勢が参加していて。

末吉:それを初めて爆風スランプで音源化した。

和佐田:名義が違うのもあって、誰が演奏してるかも知られてなかったので、自分たちがやってるんだよ、っていうところで。

末吉:昔のアレンジがテクノっぽいサウンドだったのを、ロックサウンドに直したよね。

中野くん:「和佐田さんの曲を入れようよ」というのがひとつあって、あと〈ティガ 勇気が 今 足りない/ティガ 勇気を 授けてくれ〉っていう歌詞なので。今、いいんじゃないかな、って。

こういう現役感を持ってる再集結って、なかなかない(末吉)

ファンキー末吉(Dr)

――次は「東の島にブタがいたVol.3」。これも今だから、ですよね。

末吉:こんな時代なんでね、「この曲を歌いたい」っていう気持ちがあったんだと思う。

中野くん:そうだ、末吉が言い出したんだ。

末吉:もともとはキョンキョン(小泉今日子)に「東の島にブタがいたVol.2」っていう曲を爆風スランプが提供して。それは、3匹の子豚が冒険旅行するみたいなかわいい歌詞だったんだけど、爆風バージョンが〈俺たちゃ 戦争やりたかねぇ〉っていう歌詞なんです。キョンキョンは今そっちを歌っているそうです。このあいだの日本武道館(2026年5月3日開催)でも、それを歌っていたみたい。

――この曲はベースソロとドラムソロが。

末吉:うん、そのほうが盛り上がるな、と。再結成のバンドって、あんまり演奏できないバンドも多いんですよね。なんでかというと、現役をずっと退いてて、それでまた再結成して、練習して、昔の曲だけやるから。でも、和佐田は年間300本以上ライブをやってる人だから、ものすごい進化してる。それをちゃんと(音源に)入れたかった。こういう現役感を持ってる再集結って、なかなかないだろうと思って。今の爆風スランプの感じ、演奏力がものすごいあるバンドだというところは、ちゃんと出していきたい。だから、選曲も何十年前のオリジナルと今とは違うんだなって思ってもらえる曲を選びました。それができているから、『今こそ!爆風スランプ』なんだろうなと。

河合:新しい音源で、ベースソロとかドラムソロが入ってる曲ってあんまりないな、久々にこういうの聴いたな、と思いました。

――「東京ラテン系セニョリータ」は――。

末吉:これも武道館に関係する曲だから入れました。35年前にMVを武道館で撮って、全員が踊ってるっていう。あと、オリジナル版はオルケスタ・デ・ラ・ルスのパーカッションを入れてラテンだったけど、今はドラムだけで、そのパーカッションも全部叩ける腕を持ってるから。これも『今こそ!爆風スランプ』にふさわしいな、と。

河合:「東京ラテン系セニョリータ」、海外で流行ったこともあったよね。

末吉:香港ね。香港で、アーロン・クオックが歌って、ヒットして。

河合:すごく流行ったっていうのを聞いて、それに乗っかりたいなと。

中野くん:でも、それ、1990年代の話だよ(笑)?

河合:いや、でも、本家がリメイクしたらそれが波及しないかな、っていう小っちゃなよこしまな考えもあったりして(笑)。

和佐田:(笑)。

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