山根航海「僕の人生って、僕一人じゃないんですよ」 笑顔と感動に溢れた2ndライブレポ&終演後インタビュー【独占】

「ステージに立つのが好きで、一生歌って踊りたいって言ってるんだけど、こうやってみんなが来てくれないと、僕はステージに立てないし、みんなの『キャー』という声があるから、生きていける。僕の人生って、僕一人じゃないんですよ」

 山根航海が2ndライブ『MOVE』で語った言葉だ。彼はこの日のライブのMCで、何度も何度も同じことを伝えていた。彼の言葉に呼応するように、ファンからも同様に温かなコールや拍手が送り返されていた。渡す言葉と、受け取る歓声。この日の会場を、この往復が満たしていた。

 2024年に配信されたオーディション企画「timelesz project」に参加し、圧倒的なスキルを持ち合わせ、かつその人懐っこいキャラクターでも多くの視聴者の胸を打った山根航海。2025年にキャッチーな「メロい」でソロデビューを果たすと、その後、軽やかな「Don’t stop」「シアワセドレス」と、明るい楽曲を続けてリリースしていった。「世界を楽しくてハッピーなものにしたい」という山根の思いを世の中に印象付けるためだ。そして2026年6月に初のデジタルミニアルバム『VV』を発表。新たな楽曲をひっさげて7月4日にヒューリックホール東京にて2ndライブ『MOVE』を開催した。

 開演を告げるように場内のBGMが少しずつ音量を上げていく。その変化に呼応するように、客席から「ワタル! ワタル!」のコールが誰からともなく生まれる。まだ本人はステージに立ってもいないのに、すでに「世界を楽しくてハッピーなものにしたい」という願いが、この場所で一つ叶っている。そんな予感がした。この日に向けて準備する山根の姿を切り取ったオープニングVTRを挟んで、さらに場内の期待はふくらんでいく。ステージにまず4人のダンサーがスタンバイ。その間を割るように山根がステージの真ん中に立つとステージが明るくなり、「行くぜ、東京!」の声と共に、「Don’t stop」でライブの幕は切って落とされた。

 ボルドーのジャケットを羽織った山根は、ダンサーと共にスタイリッシュに踊りながら、〈風に乗って進もう どこへでも行けるよ〉〈隣には君だけでいい〉と歌う。まだ始まったばかりなのに、ファンと過ごすこれからの時間への期待だけで、胸が高鳴ってしまう。低いベース音のイントロががらりと雰囲気を変えると「Mask Off」へ。ジャケットを翻したり、低めにリズムを取ったりしたりと艶やかなパフォーマンスをしながらも、〈本当の君だけ見せて〉〈比べるより 自由でいる〉と、山根らしいメッセージもしっかりと刻んでいく。

 スタイリッシュな幕開けとなったライブだったが、MCになると「僕が正真正銘、山根航海です!」「みんな元気そう!」と一瞬で人懐っこい姿に。客席から「キャー」「ワタルー!」との声が飛んでくると「今の幸せかも」とつぶやき、もう一度「ワタルだよー!」と言ってみるなど、ファンとの会話を楽しむ姿も愛くるしい。

 山根のライブには、たった一つだけ約束事があるという。「ライブが終わったあとに後悔しないこと」。「僕のライブは全員で楽しむライブなんで、もう好きなように体動かして、好きなように歌ってくれたらなと思います」。そう告げると、揃いの手振りをレクチャーしてから「VVW」へ。ピースサイン2つでWataruの「W」になる、そんな小さな気づきをまるごとキュートな一曲に変えてしまった1曲だ。ダンサーが2人でVを作る間に山根が立つ振り付けや、〈真顔からのW〉の歌詞でとびきりの笑顔を見せるなど、山根の持つ明るさが会場いっぱいに広がっていく。続く「シアワセドレス」では、ファンの手拍子も味方につけて、幸せな空間を作り上げた。

 と、ここで山根いわく“踊るパート”だという、カバーダンスコーナーへ。男性ダンサーと共に勇ましく踊ったかと思えば、女性ダンサーとしなやかに踊ったりと、そのダンススキルを余すことなく見せていく。さらには「タイプロ」の課題曲でもあった「Can do! Can go!」(V6)も披露し、ファンを喜ばせたと同時に、山根のDNAも感じさせた。

 山根の発案による「ワタル、大好き!」という乾杯の音頭で水分補給をしたあと、山根はさらに新たな顔を見せる。未音源化楽曲の披露だ。突き進む力そのもののようなアグレッシブなロックチューン「JACK」、スーパースターになることを誓うヒップホップチューン「Say my name」と、強い意志を惜しみなく届けていった。

 次に何が起こるのかが予測できず、ひたすらにワクワクさせられる『MOVE』。山根が去ったステージでは、山根が予備校の先生に扮したCMが突然流れ始める。次には山根が出演するランドセルのCM風、さらにはドラマのCM風など、ユニークなCM風映像が次々と流れていく。ふざけることが大好きな山根らしい仕掛けだ(なお、このCMについては最後まで言及されることはなく、いまだに観客の脳内には「あれはなんだったのだろう」という疑問が残っていることだろう。筆者も同じです)。

 そんなCMを挟んで、ステージにはキーボードが用意された。ここで山根は、今年YouTubeの企画として始めたピアノで弾き語りを行う。「失敗してもいいし、間違えてもいい。ただ、何が大事かって、やるって決めたことをみんなの前でやることなんで、全力でピアノで弾き語りをしたいなと思います」。自身が挑戦する姿を見せることで、挑戦や不安へ立ち向かう人の背中を押したいという思いを言葉にすると、「Let It Be」(The Beatles)をカバー。一音一音確認するような指先から生まれる音は、ときおりたどたどしさも感じさせたが、だからこそ感情が音と声に滲み、リスナーの胸をまっすぐに打った。

 無事弾き終えると、ステージには山根のピアノの先生であるEYRIEが登場。そしてステージはEYRIEへとバトンタッチ。2人はクラシカルなピアノの調べから、最新曲「N.Ø.G」を披露。カラフルなサウンドに、客席からは自然とクラップが生まれる。そして『VV』の冒頭を飾るインストナンバー「Unknown World VV (feat.EYRIE)」が始まると、山根がコンテンポラリーダンスで応える。EYRIEの世界から一気に『VV』の世界へと誘った。

 続いては「タイプロ」で共に過ごした北林楓、日野健太が登場。北林は「Signal RED」でほとばしる情熱を歌い上げたあと、山根の好きな曲だという「I LOVE MESS」で山根とコラボ。歌い終えると、北林は「航海と歌えてうれしい」と噛みしめるように喜びを口にした。続く日野は軽やかなメッセージを込めた「New Day, New Me」を届けたあと、こちらも山根のリクエストでゴスペル曲「Living Love」をコラボした。歌い終えると、日野は「次は航海の曲でダンスしたい」と話す。というのも、「タイプロ」で日野にとって山根がダンスの師匠だったから、と。2人はそのまま、当時の思い出話に花を咲かせた。

 音楽を通して出会ってきた仲間との時間を経て、ステージに一人で立った山根。改めて自身を大きく変えた「タイプロ」について「いろんな世界を見させていただいたし、掴もうと思ったものが掴めなかったこともあった」と振り返る。あの頃、ファンからのメッセージが、生きる道を作ってくれたと感じている、とも。

 「あの時にみんなからメッセージをもらえていなかったら、僕は多分今日このステージに立っていないと思います」「今後も1歩1歩歩いていきます。いろんなことがあると思います。まっすぐ歩けない時とか、急にこけちゃうこともあると思います。そういう時も隣で見守ってくれたらうれしいです」。そんな思いを歌詞に込めた「みんなへ」を歌唱。しんと静まり返る中、マイクスタンドを握りしめながら、得意なダンスを封印して歌う。動きを止めた分、すべてのエネルギーを言葉の端々まで張り巡らせ、すべての思いをこぼすまいとしながら、ファンと出会えた喜びや感謝を歌にする。最初は山根ひとりを指していたスポットライトが、ゆっくり客席のファンへと広がっていく。アウトロでも「みんながいてくれるから、今日も僕は笑って生きることができます。そして今後もみんながいるから僕は全力で歌って踊ることができます。本当にいつもありがとう」と言葉を贈った。

 次に選曲されたのは、ソロデビュー曲「メロい」。サビではファンからのコールも受け取り、再び場内はハッピーなムードに。そして最後はアルバムの最後も飾る「忘れちゃえ」。“俺の性格みたいにすごく明るい真っピンクタオル”が場内を彩り、山根の煽りもさらにアグレッシブに。ステージ上も客席も全力を出し切り、大盛り上がりの中でのラストチューンとなった。

 撮影可能のアナウンスと共に本日2度目の「Mask Off」でアンコールへ突入。グッズ紹介を経て、この日のゲストを再び呼び込み、全員で「VVW」で大団円。ゲストとダンサーを見送り、「バイバーイ!」と手を振って自身もステージを去る……と見せかけて「って終わるわけない? 山根航海が」とニヤリ。そして山根は客席へ繰り出していく。客席内を練り歩き、ファンへ笑顔を振りまき、ファンサをしながら、「シアワセドレス」を歌い届けていった。

 ダンスや歌を含めたステージングスキル、ギャグセンス、人懐っこさ、湧き出る発想力。彼が持つそのすべては誰かを喜ばせるため、誰かを元気づけるため、誰かの背中を押すためにある。それを証明するような2時間だった。しかしそれは自己犠牲のうえではなく、仲間やファンも、同じように山根を喜ばせたい、元気づけたい、背中を押したいと思って、隣にいた。「僕の人生って、僕一人じゃないんですよ」とは、こういうことだったのだ。「世界を楽しくてハッピーなものにしたい」という願いは、少しずつ、けれど確かに、実現している。

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