LOVE PSYCHEDELICOはなぜ今、初期衝動を鳴らし直したのか 『NAKED SONGS』で提示した“本当の完成形”
スリリングな手触りを増した名曲群、装飾を剥ぎ取った“裸のバンド”の姿
「FLY」では、その意図がさらにダイレクトに表れている。The Beatlesの「Hey Bulldog」を思わせるギターとベースのユニゾンリフはもともとこの曲の核だったが、空間系リバーブを抑えたNakedバージョンでは、弦にピックが触れる瞬間の感触が、まるで視覚化されたかのようにくっきりと押し出され、曲全体にいっそうスリリングな手触りをもたらしている。一方、「It’s Ok, I’m Alright」では、音の立ち上がりから減衰まで、いわばそれぞれの“音価”がより明確に浮かび上がる。その結果、途中から現れるストリングスは、後景で楽曲を飾る装飾ではなく、バンドサウンドを構成する有機的な一要素として機能するようになった。
「Love Is All Around」では、中期The Beatlesやサイケ期のThe Rolling Stonesにも通じる色彩感が、さらに鮮やかに立ち上がる。Nakedバージョンではコーラスがより前に出され、とりわけ男声コーラスの存在感が増したことで、フラワーチルドレン的な陶酔感がより濃密に漂うようになった。「“O”」もまた印象深い。ここでは「Last Smile」と同様、ローファイ処理されていたKUMIの声のエフェクトが後退し、声そのものの質感やアーティキュレーションが生々しく迫ってくる。歪んだバンドサウンドとのコントラストもいっそう際立ち、この曲がもともと秘めていた危うさや色気が剥き出しになる。
そして「Bye Bye Shadow」では、左に寄せられたアコースティックギターのカッティングがリズムを強調するだけでなく、同じ帯域と定位にあった鈴系のパーカッションやラップスティール、さらにはメロトロンの響きまでもが、より明瞭に捉えられるようになった。そのことで、楽曲に宿っていたフォーク/カントリー的なアーシーさが、以前よりも濃い陰影を帯びて立ち上がってくる。
本作のキーワードでもある“NAKED”という言葉から、The Beatlesの『Let It Be… Naked』を連想する人も多いだろう。あの作品が、フィル・スペクター的な装飾を剥ぎ取り、本来バンドが目指していたロウなバンド感やライブ感へと立ち返ろうとした試みだったように、本作もまた、過去曲を“今風に新しくする”のではなく、“本来そこにあったはずの姿”へと立ち返ることを目指した作品だ。NAOKIが語る「当時脳裏に描いていた本来の、本当の完成形」とは、まさにそういうことなのだろう。
25周年という節目にLOVE PSYCHEDELICOが辿り着いたのは、祝祭的な総括ではない。むしろ、自らの代表曲群の奥にずっと眠っていた“裸のバンド”を、今改めて鳴らし直すこと。その静かで執拗な作業こそが、この『LOVE PSYCHEDELICO NAKED SONGS』を、単なる記念盤以上の作品にしている。
※1:https://lovepsychedelico.net/contents/1034478
■リリース情報
25周年記念アルバム
『LOVE PSYCHEDELICO NAKED SONGS』
発売日:2026年4月21日(火)
<収録楽曲>
1:Free World (Naked New Mix)
2:Your Song (Naked New Mix)
3:Last Smile (Naked New Mix)
4:Hello (Naked New Mix)
5:FLY (Naked New Mix)
6:It's Ok, I'm Alright (Naked New Mix)
7:Love Is All Around (Naked New Mix)
8:“O” (Naked New Mix)
9:Bye Bye Shadow (Naked New Mix)
■関連リンク
LOVE PSYCHEDELICO 25th Anniversary Special Site
https://lovepsychedelico25th.net/
Official Site
https://lovepsychedelico.net
Official X(旧Twitter)
https://x.com/delicoofficial
Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/@lovepsychedelico
NAOKI X(旧Twitter)
https://x.com/naoki_delico
NAOKI Instagram
https://www.instagram.com/naoki_lovepsychedelico/