乃木坂46、“挑戦者”であり続ける15年目のターニングポイント 『5th ALBUM MEMORIAL LIVE』を振り返る

 2026年の乃木坂46は約7年ぶりのオリジナルアルバム『My respect』のリリースから始まったが、メンバー総出演のライブにおいては2月20日〜23日の4日間にわたり有明アリーナで開催された『Coupling Collection 2022-2025』(20日、21日)および『5th ALBUM MEMORIAL LIVE 「My respect」』(22日、23日)から幕を開けた。この4公演は5thアルバム『My respect』の発売を記念したもので、前者は29thシングル『Actually...』から40thシングル『ビリヤニ』までの楽曲のうち、アルバム『My respect』に収録されなかったアンダー曲やユニット曲など、カップリング曲を中心に編成。後者は『My respect』に収録されたシングル表題曲や期別曲を軸にステージが展開されるという、デビュー15年目のグループにとって初めての試みとなった。

 本稿ではこの4公演のうち、最終日にあたる2月23日公演の模様を中心に記す。

6期生から繋いでいくバトン、各期の強みを示すステージに

 メンバー総出演のライブは、昨年11月末の3期生・久保史緒里の卒業コンサート(※1)以来。しかも、この4日間にデビュー14周年(2月22日)を挟むということもあり、グループにとって新たな始まりを予感させる公演を期待したファンは少なくなかったことだろう。実際、この日はかつて3期生がグループに本格合流した際のステージ……2017年7月1日〜3日に明治神宮野球場で開催された『乃木坂46 真夏の全国ツアー2017』を彷彿とさせるものがあり、グループとしての底力はもちろんのこと、各期の個性や実力の高さを再認識する絶好の機会にもなった。

 ライブは6期生のデビュー曲「タイムリミット片想い」からスタート。この日は休業中の小津玲奈に加え、体調不良で急遽欠席となった瀬戸口心月の2名を欠く9名でのステージとなったが、2人の不在を埋めようとする全力のパフォーマンスからは、とてもデビュー2年目に突入したばかりとは思えないほどの成長を感じ取ることができた。6期生は本公演の約1カ月前、同会場で『乃木坂スター誕生!SIX LIVE』を経験しているが、この日は1カ月前とも異なる気迫で観る者を圧倒。各6期生楽曲でセンターを務めた矢田萌華や川端晃菜、大越ひなの、森平麗心といったメンバーはもちろん、MCを仕切った愛宕心響など個々が強い輝きを放ち、「このライブを絶対に成功させる!」という強い意志のもと、堂々としたパフォーマンスで同公演を活気付けてみせた。

 後輩からバトンを受け取って、続いてステージに登場したのは5期生。メンバー全員がシングル表題曲やアンダー楽曲、期別曲でのセンター経験者ということもあるが、加入からの約4年間でもはやスター集団と呼ぶに相応しい存在へと成長した彼女たちのステージは安心感はもちろん、ライブの中に大きなうねりを作り上げていく。奥田いろはが舞台出演のため22日のみ参加となり、この日は10人でのパフォーマンスとなったが、池田瑛紗センターの「心にもないこと」を筆頭に前日とは異なる選曲で観客を魅了。代々受け継がれる王道の“乃木坂46らしさ”と5期生だからこそ生み出せる独特の色を織り交ぜた、“現在進行形の乃木坂46”の姿を提示しつつ、MCではメンバー同士のモノマネでバラエティ色の強さを打ち出すなど、その頼もしい姿からはすでに5期生がグループを牽引する重要な存在であることが窺えた。

 そして、今やグループの大黒柱と呼ぶに相応しい4期生は、「I see...」や「ジャンピングジョーカーフラッシュ」といったライブに欠かせないキラーチューンの連発で、華々しいステージを展開。彼女たちも5期生に負けず劣らずのエンターテイナーぶりを発揮し、トロッコに乗っての登場や各々異なるパーティグッズを着用してのパフォーマンスなど、特別感の強い見せ方でファンを楽しませることを決して忘れない。その傾向はMCパートにも引き継がれ、メンバー一人ひとりの個の強さを遺憾なく発揮。その一方で、「キスの手裏剣」や「図書室の君へ」といった初期の楽曲では、当時の初々しさを思い出させながらも加入8年目らしい風格も見せつけ、ラストは林瑠奈センターの最新曲「Fake Doctor」で今の彼女たちの魅力を存分に提示してみせた。

 6期生から次々に受け渡され続けたバトンは、最後に3期生のもとへと渡る。伊藤理々杏、岩本蓮加、梅澤美波、吉田綾乃クリスティーと4人となった3期生だが、ほかの期に負けないほどのオーラとエネルギーで、彼女たちにしかできないステージを披露。2017年の神宮では緊張を浮かべながらトップバッターを務めた彼女たちが、今では「世界はここにある」のように壮大なスケール感のバラードを表現できるまでに成長し、かつすべての3期生楽曲をメドレーで届けるなど、ひと味違った見せ方で後輩たちに背中を見せる姿は感動的であると同時に、「これがこの4人でのラストステージなんじゃないか?」と錯覚してしまうほどのクライマックス感が伝わってきた。

 事実、この公演から数日後にキャプテンの梅澤が卒業発表しており、そう思うとあの日感じたことはあながち間違いでもなかったのだなと気付かされる。それほどまでに、3期生が見せたステージは集大成と呼んでも差し支えないものだったのだ。

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