ラウールが語る“モデル”という存在、1年半に及ぶ挑戦 『ラウール On The Runway』取材会詳細レポート
今回のミラノ、パリコレクションへの挑戦が、ラウールの価値観・人生観に与えた影響について聞かれると、自身のコンプレックスに触れながら胸中を明かす。
「16歳でデビューしたこともあり、普通の人の10代、20代よりわりと甘やかされていたというか、あまり苦しまなかったんだなとか思ってしまって。それがけっこうコンプレックスだったんですね。別にこの1年半でちょっと苦しかったからって、『俺もつらかったんだぜ』ってことではないんですけど、そういう経験がしてみたかったところもありました。
小学生くらいの頃からアイドルの事務所に入って、10代でデビューして、と導かれるがままにきてしまった人だったので、今回の挑戦は就職活動的な感じだったんですよ。たとえば、事務所に入るとか、オーディションを受けるとか。それができたのは大きかったです。地元の友達とたまに会ったりした時に、正直共感できないことがお互いにあったりして。でも、この前、久しぶりに友達に会って就活をしている話を聞いている時に共感できる瞬間があって、それが嬉しかったなって。やっていなかったら聞き流しちゃっていたかもとか、聞くのが苦しい話という気がしちゃったけど、全力で頷けたし、自分のやり方、その子のやり方を聞き合って、面白いなぁと思ったりして、すごくいい時間でした」
ラウールは、現在放送中のドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)でも俳優として活躍中だ。モデル活動が芝居にも活かされているかという質問が投げかけられると、「初めて考えました」としつつ、「1年半のあいだに印象的だったのは、初めて自分のことで悔しくて涙が出るみたいな。子供の時はしょっちゅうあったけれど、自我が芽生えてからは初めてに近いくらいの悔し涙的なことが(ドキュメンタリーには)映ってないんですけど、あったんですね。もしかしたらそういうことがどこかに活きているかもしれないです」と回答。
また、ラウールがパリコレデビューを飾った「Yohji Yamamoto POUR HOMME 2023 Spring Summer コレクション」のランウェイについての質問では、当時モデル事務所にも入っていなかったため、直コンタクトで日本で行われたオーディションを受けたと話し、当時の模様を振り返る。
「すごく思い出深くて。(デザイナーの山本)耀司さんが『動きをつけてみたらどう?』みたいなことを言ってくれて、前日か前々日か忘れてしまったんですけど、一晩中リハーサル室にこもって、本番の音楽がわからないから、過去のコレクションの同じような音楽を聴きながら、服はなんとなくこれを着るとわかっていて、それを着ながらいろんな動きを試して『これだ!』というのを本番前に見せに行って。その時に『これをこれくらいにして』と整えてくださいました。日本を代表するデザイナーの方なので、そういう会話ができたことが嬉しかったです」
1年半に及ぶ挑戦を通して、ラウールが今後の活動に持ち帰るものは「自分で考えて答えを出す」ことの大切さだ。
「全部自分の頭の中で考えて作っていかなきゃいけないもので、誰かに教えてもらうというのがなかったのですが、でも結局いつもそうなんだよなと思って。どの仕事をするにしても、自分が考えて、自分が答えを出さなきゃいけないということだと思うので、それを当たり前にしようと思いました」
そして最後に次のようなメッセージを送り、取材会を終えた。
「あまり馴染みのない世界のドキュメンタリーになると思うので、単純に興味がパッと出てくるかちょっとわからないなと自分でも思ってるんですけど。自分の中ではこの世界のことを少しでも知ってもらえたらという気持ちがあるので、どんなモチベーションでもいいので、休みの日とか、1時間半くらいの短いコンテンツだと思いますので、観てもらえたら嬉しいなと思っています。よろしくお願いします」
『ラウール On The Runway』は、9月13日10時よりPrime Videoにて独占配信される。