『遙かなる時空の中で』アニメ放送から20年　「遙か君のもとへ…」など時を越えて響く名曲たち

　そして個人的に紹介したいのは、アニメ『遙かなる時空の中で～八葉抄～』の続編として公開された『劇場版 遙かなる時空の中で 舞一夜』のイメージソング「玉響（たまゆら）のしずく」だ。歌詞を田久保真見、作曲は水樹奈々の楽曲なども担う陶山準が手掛けたこの曲は、物語の象徴である雨音がずっと想いを繋ぎ続けるように響く。一つの物語を見守るように歌う友雅と永泉、そして斉陵王の鬼の面と共に彷徨う中であかねと出会う青年・多季史役の櫻井孝宏が彼の想いを詠み上げ、慈愛の涙雨のように言葉を落としていく。箏や三味線、笛で紡ぐ雅楽の旋律とともに雨の雫のように降るリズムが印象的だ。

　アニメ化20周年を迎えた『遙かなる時空の中で』の音楽を改めて振り返ると、きっとまたあの物語へと手を伸ばしたくなるはず。“無印”と呼ばれるあかねの物語から、高倉花梨とともに京へ渡った『遙かなる時空の中で2』、神子としては初めて剣を握り、戦場を駆けた春日望美と源平の戦いへと身を投じた『遙かなる時空の中で3』、神子と八葉の物語のはじまりを葦原千尋として哀しみを乗り越え、哀しみを連れながら歩んだ『遙かなる時空の中で4』、キャストを一新し、幕末の戦いを愛をもって見つめた蓮水ゆきと何度も時を超えた『遙かなる時空の中で5』、大正時代へと飛ばされ、未来を守り終末を跳ねのけた高塚梓との旅路となった『遙かなる時空の中で6』」、織田信長の娘として戦国の世の龍脈を正そうと戦った天野七緒として生きた『遙かなる時空の中で7』。そのすべてが、魅力溢れる音楽とともに在る。それぞれの世界に浸り、音楽に触れることで、いつでも神子は神子たる想いに背を伸ばすことだろう。12月18日には『20周年 遙かなる時空の中で3 鬼哭の月』として『遙かなる時空の中で3』の20周年記念CDが『赤』『青』の2タイトルでリリースされる。それぞれがキャラクターソング4曲（うち3曲は新曲）とドラマが収録されるとのこと。アニメ20周年を振り返り、そのまま神子の道として浸るのもよし。この冬を楽しく過ごせそうだ。