パリス・ヒルトンは“お騒がせセレブ”から真のポップスターに　紆余曲折の人生、シーアも評価する歌手としての輝き

　アルバムに先駆けて6月に公表されたシングル「I’m Free」には、ロンドンを拠点とする日本人シンガーソングライターのリナ・サワヤマが参加。90年代後半にクラブシーンでヒットしたウルトラ・ナテの「Free」が引用されている。ハウスミュージックが再評価され、人気が再熱する今、こちらもジャストなタイミングでの鮮やかな温故知新だ。

　さらにカリプソにインスパイアを受け作られた南国ムード溢れる「Chasin’」にはメーガン・トレイナーが参加。「All About That Bass」などのヒットで知られる彼女もレトロに回帰したニューアルバム『Timeless』を6月にリリースしたばかり。彼女は同曲に加えて、ソングライターとしても「Stay Young」、「Infinity」といったナンバーを提供し、シーアと並び本作に大いに貢献。キレの良いアップリフティングなパーティバイブスで盛り上げる。

　パーティバイブスといえば、ミーガン・ザ・スタリオンとの共演ナンバー“Bad Bitch Academy”こと「BBA」も本作の最大の聴きどころのひとつ。パリスがクラブで遊びまくっていた“お騒がせ”時代を彷彿とさせるクラブチューン（MVにはメーガン・トレイナー、ハイディ・クルム、ランス・バスらも出演）は、The Chainsmokersが遊び心満載で作った初期ヒット曲「#Selfie」にも匹敵するジョークが効いた一曲に。世間が彼女に抱くイメージを逆手に取ってパーティガールを演じきる。ポップスターになろうと必死になっていた以前の彼女なら、できなかったに違いない。だが、今やそれこそが自身のブランドであることを、しっかり熟知。後にも先にも彼女以上にパリス・ヒルトンを上手く演じれる人はいないのだから。前作『Paris』には欠けていた、そんな遊び心がアルバム『Infinity Icon』には溢れている。ミーガン・ザ・スタリオンがアニメのキャラを演じるように、パリスは唯一無二のパリス・ヒルトンを演じてみせる。

　パリスがこのアルバムを「全ての人に向けたアルバムだが、特にLGBTQ+コミュニティに向けたアルバム」と語っているのは、「I’m Free」でも歌われているように、「自分らしく自由に生きるべき」というメッセージが込められているからだろう。アルバムは、パリス自身の長年にわたる癒しの旅と、その過程でより強くなったという彼女の経験に触発されており、彼女自身が『Infinity Icon』＝“無限大のアイコン”であるのはもちろんのこと、誰もがそうなれるのだと励ましてくれるエンパワーメントアルバムなのだ。

■リリース情報
Paris Hilton『Infinite Icon』
配信＆CD購入URL：https://ParisHilton.lnk.to/infiniteicon_jp

＜収録曲＞
01. Welcome Back
02. I'm Free (feat. Rina Sawayama)
03. Chasin’ (feat. Meghan Trainor)
04. BBA
05. Fame Won’t Love You (feat. Paris Hilton)
06. ADHD
07. Legacy
08. Stay Young
09. Infinity
10. If the Earth is Spinning (feat. Sia)
11. Without Love (feat. Maria Becerra)
12. Adored

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