そんな『LOST』のオープニングテーマを担当するのが、ボカロPとして活動を開始したコンポーザーのユリイ・カノンが主宰する音楽プロジェクト・月詠み。月詠みはこれまでに『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』（テレビ東京系）のエンディングテーマ「ヨダカ」からいくつかのアニメとタイアップしており、テンポの緩急はあれどシリアスな曲が多かったこともあり、発表時は「子供向けの『デュエマ』とタイアップ？」という驚きがあったが、本編が公開された今となっては納得しかない起用だった。

　そもそもユリイ・カノンが元々カードゲームの『デュエル・マスターズ』のプレイヤーなのだそう。そのためか、今春の『デュエル・マスターズ』新シリーズ「王道篇」開幕に伴い公開されたSpecial Movieの主題歌「導火」では「光、水、闇、火、自然」というカードゲームにおける文明（属性のようなもの）の名前を歌詞に取り入れるニクい演出をしていた。

　今回はそうした直球なワードこそないものの（とはいえ「闇」と「光」は出てきたり）、「誰かの視点を通して語られるストーリー」といった意味の「ナラティブ」というワードを軸に、手探りで、しかししっかりと進もうとする人物の生き様が歌われていく。そもそも「ナラティブ」という多くの人にとって聞き慣れないであろう言葉を『デュエマ』ほどのメジャー作品とのタイアップ曲のキーワードに持ってくる覚悟自体が特筆もの。謎めきながらもその裏に強さを感じさせる言葉が、ユリイ・カノンらしいスピーディかつ急展開続きのロックチューンに乗せて綴られる様子は、記憶喪失の主人公・ウィンが運命に翻弄されながら生きていく本作にふさわしい楽曲となっている。

　月詠みは楽曲と小説を合わせて章仕立ての物語を展開しており、前述した「導火」から2nd Story「それを僕らは神様と呼ぶ」に突入中。そこでは死が身近にある世界で生きる人の物語が展開しており、これは『LOST』とも共通している。さらにツインボーカルによる絡みも『LOST』に登場するダブルヒロインを思わせ……とまで書くと穿ちすぎかもしれないが、とにかくタイアップ先と月詠みの世界観が素晴らしくマッチしているのだ。

　「アニメとタイアップする際に自身の世界観をどこまで出すか」というのは、筆者が過去にもいろいろなアーティストにインタビューで話を聞いてきた中でも、それぞれに塩梅が異なっている面白いテーマだ。「ナラティブ」は、ユニークな手法を取りつつ、それをかなり高次元でバランスよく融合させる月詠みらしさを再確認できた1曲と言える。

■配信シングル
月詠み シングル
「ナラティブ」
2024年10月2日（水）配信リリース

配信リンク：https://jvcmusic.lnk.to/Narrative
※ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信中

■月詠み2nd Story「それを僕らは神様と呼ぶ」
Special Site：https://sorekami.tsukuyomi2943.com/
小説Chapter：002「ナラティブ」：https://sorekami.tsukuyomi2943.com/

■関連リンク
月詠み Official Site：https://www.tsukuyomi2943.com/
月詠み公式グッズページ：https://tookabase.com/shop/tsukuyomi
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アニメ『Duel Masters LOST ～追憶の水晶～』公式サイト：https://www.shopro.co.jp/anime/duelmasters_lost/
デュエル・マスターズTCG 公式サイト：https://dm.takaratomy.co.jp/
アニメ『デュエル・マスターズ』シリーズ公式X（旧Twitter）：https://x.com/duema_anime
デュエル・マスターズTCG公式X（旧Twitter）：https://x.com/t2duema